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☆大阪市教委回答(2015.2.20付)「知らないと言ったことは謝罪する」「知っているが答えない」に回答を訂正する。
私たちは、2015年1月19日付で、放射線知識普及連携プロジェクトの実態に対する2013年12月11日「協議」時の大阪市教委の虚偽回答撤回を求めましたが、それへの回答が2月20日付で届きました。
「知らないと言ったことは誤りで、謝罪する」が、「知っているが、市政外のため答えない」に訂正するというものです。放射線知識普及連携プロジェクトが関西原子力懇談会が作り、資金も全部出して運営する原子力産業のための組織であることは否定しようがない状況になり、市教委もそれを否定していません。にもかかわらず、教育介入事業である「放射線教育サポートシステム」を容認しつづけることは、福島第1原発事故につながった原子力安全神話をつくり出した原子力産業との癒着を継続する宣言とも言えます。批判を集中し、大阪市教委に原子力産業との癒着を断ち切ることを宣言させていきましょう。
以下、2015年2月20日付大阪市教委の回答を質問・要請とともに掲載します。
<質問事項>
1.プロジェクト規約に規定されている実行員会には、代表と幹事という2つの役員をおくとされています。代表は近畿大学原子力研究所長の伊藤哲夫さんであり、公開されていますが、幹事は表に出ていません。幹事は誰ですか。文科省原子力課によると、関西原子力懇談会常務理事のようですが、それで間違いないですか。
<回答>本市市政外のため回答できません。
2.プロジェクト規約には、会費などの収入の項目はありません。関西2府4県8会場で行われた「基礎から学ぶ放射線セミナー」の支出は、2,481,096円が予定されていた(文科省情報提供資料)ようですが、受講料はなく参加無料です。これを埋め合わせる収入はどう調達しているのですか。関西原子力懇談会以外にないと思うのですが、違いますか。
<回答>本市市政外のため回答できません。
3.プロジェクト規約には、「会員」の規定はなく、「メンバー」の規定があります。「メンバー」には会費のようなものはなく、任期が2年と定められています。任期があるということは選ばれるということだと思うのですが、誰が選ぶのですか。プロジェクト実行委員も含めて、選んでいるのは関西原子力懇談会ではないのですか。
<回答>本市市政外のため回答できません。
4.2011年6月末段階で、放射線知識普及連携プロジェクト規約、プロジェクト実行委員会名簿、基礎から学ぶ放射線セミナー収支予算書が大阪市教育委員会に提出されていたので、放射線知識普及連携プロジェクトの組織運営や財政状況については知らないという立場での2013年12月11日の回答は、虚偽回答であると考えます。回答の主体であった指導部中学校教育担当はこれらの資料の存在を知った上で回答したのですか。
<回答>平成25年12月11日の回答時点で、指導部中学校担当においては、ご指摘にある資料が本市教育委員会に提出されていたことを把握しておらず、協議の場で「そうした事実は知らない」との回答をさせていただきました。
<要請事項>
1.2011年6月末大阪市教委に提出された放射線知識普及連携プロジェクト規約、プロジェクト実行委員会名簿、基礎から学ぶ放射線セミナー収支予算書によれば、放射線知識普及連携プロジェクトは、関西原子力懇談会が運営し、資金を提供していることが明らかであるので、2013年12月11日の回答が虚偽であったことが明らかになりました。その事実を認め、謝罪するとともに、回答を訂正してください。
<回答>ご指摘にあるとおり、平成23年6月に本市教育委員会あてに、放射線知識普及連携プロジェクト規約、放射線知識普及連携プロジェクト実行委員会委員名簿、「基礎から学ぶ放射線セミナー」収支予算書が提出されております。平成25年12月11日の協議の場で、「『放射線教育サポートシステム』の運営資金が関西原子力懇談会から出ていることを知っているのか。」の質問に対する「そうした事実は知らない。」との回答については、「『基礎から学ぶ放射線セミナー』収支予算書は提出されているが、その内容については本市市政外のためお答えしかねます。」に訂正させていただきます。
2.原子力産業の発展を目的とする関西原子力懇談会がその組織目的実現のためにつくった放射線知識普及連携プロジェクトが実施する「放射線教育サポートシステム」は原子力産業の教育介入事業であるので、大阪市教育委員会として受け入れないことを表明してください。
<回答>「放射線教育サポートシステム」は、教員向けセミナーの実施やガイドブックなどの教育ツールの提供等、放射線の授業を行うにあたって、中学校教員を対象に支援を行う事業であり、関西地域の原子力関係の学会、大学、団体の有志が連携した「放射線知識普及連携プロジェクト」が実施しているものです。以前より回答させていただいておりますように、教育委員会としましては、中学校教育において、放射線についての基礎知識や正しい情報を理解させることは大切であると考えております。そのためにも、指導する教員が原発事故など様々な状況をふまえつつ、正しい知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステムであると考えております。
☆ 2013年12月11日「協議」の放射線知識普及連携プロジェクトにかかわる大阪市教委回答は虚偽。「質問と要請」を提出しました。
☆放射線知識普及連携プロジェクト代表 近大原子力研究所長 伊藤哲夫さんあてに質問書を送りました。
2015年1月10日
放射線知識普及連携プロジェクト代表
近畿大学原子力研究所長 伊藤哲夫様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク・学校教育関係部会
大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F
FAX:(06)6976-9818 本件の担当:松田(090-1138-5776)
「放射線知識普及連携プロジェクト」規約と「基礎から学ぶ放射線セミナー」会計等についての質問
前略
私たちは、子どもたちに原発事故と放射能汚染、被ばくの危険性を知らせ、命を守るための学習を実施してほしいと要請活動を行っている団体です。
私たちは、あなたが代表を務める団体「放射線知識普及連携プロジェクト」が実施する「放射線教育サポートシステム」について、原子力産業の教育介入ではないかとの疑念を抱き、これまでも、関西原子力懇談会や大阪市教育委員会に対して、組織の実態、運営、会計などについて問い合わせを行ってきました。この度、「放射線知識普及連携プロジェクト」が2011年8月~9月にかけて実施した教職員対象「基礎から学ぶ放射線セミナー」への大阪市教育委員会や文部科学省の後援名義使用申請に関わる文書が公開されたことから、その公開文書をもとに質問いたします。
<質問事項>
1.「放射線知識普及連携プロジェクト」規約によれば、この
「放射線知識普及連携プロジェクト」の「メンバー」は任期2年
となっています。「任期」があるということは選ばれるというこ
とであると思いますが、誰が選ぶのかということについての
規定がありません。「メンバー」を選任するのは誰ですか。
2.「放射線知識普及連携プロジェクト」規約では、「実行委員
会」を設置するとし、その役員として、「代表」1名と「幹事」1
名をおくことを規定しています。しかし、関西原子力懇談会
のホームページに掲載されている2012年9月末現在のプロ
ジェクト実行委員会の名簿には、「幹事」が掲載されていま
せん。「幹事」は誰ですか。なぜ、ホームページに載せてい
ないのですか。また、公開された文書では、顧問も2人おい
ているとのことですが、お名前を教えてください。
3.「放射線知識普及連携プロジェクト」規約には、会費を含
めて、収入の規定がありません。「予算」の項目には、「必要
な予算は活動内容に応じ、都度各機関で検討し、負担する」
とありますが、規約に規定されている機関は「実行委員会」
と実行委員会の議決によって設置される「ワーキンググ
ループ」だけです。必要な予算を検討する「各機関」とは何
のことですか。また、現在、設置されているワーキンググ
ループにはどんなものがあるのか教えてください。そのメン
バーについても教えてください。
4.文科省に提出された「基礎から学ぶ放射線セミナー」の収
支予算書によれば、この事業の支出は2481096円です。そ
の費用は、どの機関で検討し、どう負担したのですか。
学校教育に関わる団体の組織・運営等は当然公開されているべきです。ぜひ、きちんと回答頂きますようよろしくお願いいたします。回答は文書でお願いしたいと思いますが、また直接連絡させていただきます。
草々
【福島県知事選予定候補/井戸川かつたかさんが語る/世界最大の事故に世界最大の救済を/被曝から県民の命と健康を守る/帰還強要は犯罪だ/国・東電・県は被害者の声を聞け】
【福島県知事選予定候補/井戸川かつたかさんが語る/世界最大の事故に世界最大の救済を/被曝から県民の命と健康を守る/帰還強要は犯罪だ/国・東電・県は被害者の声を聞け】
10月9日告示、26日投票の福島県知事選に前双葉町長の井戸川かつたかさんが立候補する。「健康を守る」「完全賠償、生活を守る」「情報公開の徹底」などを基本政策に「平和と希望、未来の福島をつくろう」と呼びかける。立候補の思いや訴えたい政策について埼玉県加須(かぞ)市の避難先で聞いた。(9月27日、まとめは編集部)
■原発震災から3年半、立候補を決意された最大の理由は何でしょうか。
福島県知事の事故後の様子を見ていて、なぜ早くはっきりものを言い、県民に報告しないんだろうと思っていました。もう一つ、どうも県民不在で決められている。県民の大事な生命、権利、財産にかかわることに県知事が取り合わず、ワンサイドで決めてきた。
「100ミリシーベルト(mSv)以下では放射線の影響はない」と言わせたり、20mSvの学校に子どもたちを通わせたり。20mSv以下になったから、と帰還政策を進めています。世界中にこんなことはない。どれをとっても人間にとって不幸なことを黙認している人が果たして県知事でいいのか。危機管理の観点からもとても恐ろしいことです。
スピーディ(放射能影響予測)の情報隠しとか、定かではありませんが40万人避難計画の拒否とか、県民の知らないところで決まった結果、多くの県民が被曝した。それを救わないといけません。国にも東京電力にもはっきりものを言い、県民が必要とする情報をどんどん出す。県民とよく話し合う。その意見に沿って県政を行わなければなりません。
県庁と県民の距離がこれほど離れてしまったのは執行者の責任です。それを解消する。何よりも、明日が見えるようにする。これはトップの仕事です。それがない、何としても声を上げなければ、と立候補を決意しました。
世界最大の事故ですから、世界最大の救済があってしかるべきです。どう見ても、世界最小の救済しかされていない。情けない。県のトップは、いかなる理由があろうと県民側に立って、県民の救済に尽力すべきです。
■被曝から県民の命と健康を守ることが最重要課題だと思います。そのための施策としてどんなことを訴えますか。
東電が事故前に引用していた被曝防止基準があります。その基準で言うと、もう福島県内ではほとんど人は住めない。どうするか。一番先に必要なのは対話です。情報公開し、県民と話し合い、県民が判断する。県民参加の議論が絶対条件です。
危険な個所は堂々と表示し、県民に見てもらう。立入禁止にする。もちろん飛散もさせない。「私は避難します」という人も出てくるでしょう。それが自然です。自然な姿で、住むか離れるかの選択をさせてあげないといけない。住む人には特別の手当が必要ですし、離れた人にも同じく、生活も生業(なりわい)も奪われたわけですから、それに県の事業としてかかわる。県民の望む方向に県が従う、ということです。
30キロ圏の図を見ていると、まさに被害者無視、被曝者無視の施策です。県民は「ふざけるな。私は被曝を望んでいない」と言うべきですが、なかなか声を出しづらい。そこを代わって声を上げ、一緒に考え、適切な対応をする。それが行政の仕事です。
子ども・被災者支援法の実現を待っていられません。福島は今そんな悠長な状況ではない。福島県条例でやればいいんです。国の予算が付く付かないではなく、県の事業でやり、費用は東電に請求すればいい。簡単なことです。誰が事故を起こしたんですか。ウクライナのいいところに学び、保養施設などをどんどん作って世界からよくやったと言われるような施策を行うべきです。
全県民、1mSv以上の地域にいた人全員に健康手帳を交付する。将来何かトラブルがあったときの保障です。それを県がやる。国だって、県がやると言えばついてきます。地方分権なんだから、どんどんやればいい。
そして医大改革です。放射能の影響はないと言い、県民は誰も信用していない。いつまでも言わせておくわけにいきません。そういう連中を入れ替え、真に県民に寄り添った考えを持つ人に健康手帳のあり方などを検討してもらう。不評を買っている県民健康調査は廃止します。あんなものが白日の下にあること自体が福島県の恥です。
■立ち向かう相手は、与野党相乗りの内堀雅雄副知事です。内堀候補ではなぜだめなのでしょうか。
私は今まで内堀副知事にいろいろ要請してきましたが、形になったものはない。その人が知事になって福島県がよくなると思いません。現佐藤(雄平知事)県政はウソが多すぎます。ウソを続けるために部下を使い、組織を使って言い訳する。やってはいけないことです。
最近分かったのは、原子力災害対策本部の現地対策本部から町と住民が排除された問題です。本来、町は現地対策本部に加わっていたのが、3月15日未明に事故対策統合本部が設置された時点で外された。一番大事なところを外すのは前代未聞。近代国家では、あり得ない。世界史上に例のない悪事じゃないでしょうか。県は対策本部のメンバーです。内堀さんも入っていた。ならば、なぜ町を入れないんだと言わなくてはならない。それをスルーした人が知事選に出る資格がありますか。犯罪者ですよ。
福島県の為政者たちは住民の被曝防止をしましたか。一方的な「帰ってこい」政策は人権無視です。私は聞きました、「帰ってやがて発症したとき誰が責任をとるのか」と。県の答えは「東電と国です」。県の帰還政策に県としての責任をうたってないんです。あきれて言葉にもなりません。
子どもたちを被曝させながら県内に住まわせる。屋内運動場で運動させ、学校給食で放射能が混じったものを食べさせる。ある母親から「子どもは学校から帰ったら寝る」と聞きました。ブラブラ病になりつつある。とんでもない虐待です。福島県の存亡にもかかわってきます。
■全国の市民に訴えたいことは何ですか。
依存をやめましょう。誰かがやればいい、できなければあきらめる、ではなく、自分で汗をかいて、かいた汗に喜びを感じる人たちが増えることを願っています。
再稼働の問題では、福島の事故の過酷さを目を閉じないで全部見てほしい。原発は得る利益より失う利益のほうが100倍は多いでしょう。避難計画と言いますが、避難生活計画が入らなければナンセンス。避難は受け入れられても、避難生活の受け入れは無理ですから。原発は壊れないうちに片付けなければいけない。そうすれば避難せずに住み続けられます。
もう一つ、脱原発を掲げる人たちが本当に福島県民の抱えている悩みを分かってくれているのかな、という思いがあります。フクシマの何が悪くて脱原発なのか、見えない。私たちは脱被曝、そして生活再建です。
■ありがとうございました。
【井戸川かつたかさん経歴】
1946年福島県に生まれる。
2005年~2013年福島県双葉町長を務める。
福島原発の重大事故を受け、福島県の首長の中でただ一人町民の県外避難を実現させた。
2012年10月と2013年5月、ジュネーブの国連人権理事会総会で原発事故後の福島の窮状を訴えた。
(公式サイトhttp://idogawa-katsutaka.net/から抜粋)
【週刊MDS 2014年10月10日発行 1349号】
☆8月22日大阪市教委との「協議」の報告 「配布した新放射線副読本は回収する」(市教委担当者)
「協議」は、8月22日(金)15:00~17:00の時間で、大阪市役所地下1階第1共通会議室において行われました。市教委側出席者は総務課庶務グループ斉藤さん、指導部中学校教育担当大西さん、指導部小学校教育課おばなさん、私たちの側の参加者は18人でした。
この「協議」は、 3月11日に「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」から提出した「原発事故と放射能汚染にかかわる学習についての要請」に関わるものでした。
大阪市教育委員会ホームページ
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000270855.html
6月13日付で回答を受け、8月11日に「協議」に向けた要請を提出し、5項目の要請事項への回答について10項目の質問をしました(ブログ掲載済み)。「協議」では、この質問への回答を受けた上で、要請事項ごとに追及、確認を行っていきました。項目ごとに報告します。
要請事項(4)(学校における防災教育の手引き等や大阪市地域防災計画)について
「今は原発事故時の対応について大阪市地域防災計画には記載がないが、大阪市地域防災計画の改訂が予定されているので、それを待って、防災教育の手引も改訂し、対応する」という市教委に対して、今、原発事故に対して子どもたちを守るためのマニュアルが何もない現実を認めさせ、また、原発事故時の子どもたちへの学校の対応につながる内容が改訂によって大阪市地域防災計画に盛り込まれる可能性が全くないことを指摘しました。
要請事項(5)(大飯原発等の再稼動への意見表明)に関して
「再稼働について意見表明する立場にない」という市教委に対して、子どもの安全を守る市教委の責任を真剣に考え、行動すべきと要求しました。
要請事項(1)(文科省の新しい放射線副読本の評価と扱い)について
3月末に大阪市立学校全児童生徒数分の新放射線副読本が各学校に送られたのは、新放射線副読本ができていない昨年10月時点の市教委判断によること、昨年12月の「協議」で、「実際に各校で使用するか否かについては、現物が届いてから中身を精査して判断する」と答えていたことを確認したうえで、その後の学校への指示・連絡と市教委内部での内容検討について聞きました。指示・連絡については、2014年3月4日付の事務連絡一度だけです。
内容は
「改訂版放射線副読本の配送について
標題について文部科学省より連絡がありましたのでお知らせします。
この副読本は平成26年度用ですので、各校において保管いただくようお願いいたします。
なお、副読本の取り扱いにつきましては、平成26年度に改めて連絡させていただきます。
配送時期:平成26年3月中」
というものです。その後、現在まで、何も連絡していません。新放射線副読本に対する私たちの指摘に対しての回答は、「指摘はあたらず、新副読本は学習する際の一助となるもの。不十分な点につては、補うための何らかの方途を考えたい。」というものでしたが、新副読本についての検討は、この問題の担当指導主事である大西さんが大阪市教育センターの中学校理科担当者とおこなっただけでした。私たちは、この副読本が、福島原発事故の本質である原発が発熱を続ける膨大な量の放射性物質を生み出すことを伝えず、被曝がDNA、細胞を壊し、原爆症を引き起こすという被ばくの本質的危険性を伝えず、国や学校の指示に従って行動すべきと嘘を教えていることを理由に「活用すべきでない」と主張しました。国が原発事故につながった自らの責任を認めてつくったものではなく、自らの責任にほおかむりをし、原発稼動を前提として、それを容認する子どもを育てることを目標とするような副読本は認めらないと主張したのです。
私たちの追及に対して市教委は立場を変えませんでしたが、市教委が全校に対して新副読本送付を判断・希望したのに、学校に対しては、当面学校保管を指示する3月4日の事務連絡を1枚送っただけという対応については、さすがに問題があったと認めざるをえませんでした。すでに配った学校があったらどうするのかという質問に対して、「生徒から回収する」と答えました。(後で、「回収する方向で検討する」と言いかえていましたが)
要請事項(2)(学校現場での原発事故と放射線に関わる学習の現状・実践集約)について
市教委が調査項目として「放射線の学習について、場面、指導者、教材、内容、課題等を聞くことを考えている」と説明したことに対して、「放射線の学習」を調査するのではなく、土曜授業や防災教育、教職員の研修会等も含めて、原発事故体験者・避難者の話を聞く機会をつくった経験、原発事故と放射能汚染という現実にふれることから学ぶ学習などの経験が集約できる調査を要求しました。
要求事項(3)(「放射線教育サポートシステム」の利用状況)につい
学校や教職員組織(教育研究会)へのアンケートを行って答えるという市教委に対して、実施団体(放射線知識普及連携プロジェクト・関原懇)に問い合わせない理由を聞きました。今まで、そうしてきたという「理由」だけで、実施団体に問い合わせることを拒む市教委に対し、「理由にならない」と批判し、問い合わせることを要請しました。
最後の受け止めとして、市教委担当者からの発言
「我々の方では副読本は活用していきますが、これが十分なものになっていないことは認識しているつもりなので、いろいろご指摘いただいたことについて、それを補うようなものを示しながら学校現場で子どもたちにとっていい学習ができるように努めたい。専門的なことも含めてご指摘等いただけたらそれも参考にしていきたい。」
私たちの今後の方針
要請項目2・3に関わるアンケートは、9月11日を皮切りとするブロック別の中学校校長会で降ろし、「集約結果は、10月中にはお知らせする」とのことです。私たちは、「ご指摘いただいたことについて、それを補うようなものを示しながら学校現場で子どもたちにとっていい学習ができるように努めたい」との発言の実行を市教委に求めていきます。また、私たち自身が、子どもたちに伝えるべき内容をつくり、実践していくよう努力します。
☆“被ばくを避ける手立ては必要ない”と刷り込む政府広報 市川章人
京都の高校理科教員・市川章人さんの政府広報批判を転載させていただきます。(子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク)
―政府広報『放射線についての正しい知識を』を批判する―
2014.8.23 市川章人
2014年8月17日、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞、福島民報、福島民友に『放射線についての正しい知識を』という政府広報が1ページを全面使って掲載された。
その内容は、福島県より避難している人々を対象に、8月3日に行われた放射線に関する勉強会で講演した2人の「専門家」の講演の要旨である。
講演者は中川恵一氏(東京大学医学部附属病院 放射線科准教授)と、レティ・キース・チェム氏(国際原子力機関(IAEA)保健部長)である。
●政府広報全体の趣旨、およびその意図は悪辣
◆中川氏の講演まとめのタイトルは「放射線について慎重になりすぎることで、生活習慣を悪化させ、発がんリスクを高めている」というもので、小見出しには「放射線の影響に関する深刻な誤解」「福島では被ばくによるがんは増えないと考えられる」「運動不足などによる生活習慣の悪化が発がんリスクを高める」とある。
◆レティ・キース・チェム氏の講演のまとめの見出しは「国際機関により設定された科学的な基準に基づく行動をとってほしい」であり、小見出しは「放射性物質は様々な場所に」、「人体にとって有害な放射線量とは」、「科学的な根拠に基づいた国際基本安全基準」となっている。
◆これらを見るだけでも、政府が「専門家」や「国際的権威」を利用して、放射線安心神話を刷り込もうとしていることがうかがえるが、後に見るように具体的記述になると、これほどデタラメで粗雑な論理やごまかしを用いて、福島の人々や国民をバカにし、その判断力を見くびることができるものかとあきれるばかりである。
許しがたいのは、重大な原発事故を起こして大量の放射性物質を放出し、今なお汚染水によって放射線物質を垂れ流す状況にありながら、政府広報がトップダウンで福島の人々や国民に注入しようとする内容のひどさである。それは、被ばくに対する住民の不安を気のせいだと言わんばかりに否定し、政府にとって都合のよい「正しい知識」を刷り込み、「被ばくの影響は何もない。今後とも何も対策は必要ない」と言っているに等しい。
これは多数の住民が避難生活を余儀なくされたことから見て完全に矛盾した言い分であるが、政府が率先して嘘を大々的につくことで効果を上げようとしているとしか思えない。政府広報の内容はこれまでも被ばくの影響を否定する立場から何度も繰り返されてきているものと同類であり、嘘も繰り返せば信じ込ませることができるというプロパガンダの手法を思わせる。
加害者である東電と安全対策を軽視して原発政策を進めてきた政府が、被害に対する補償と、住民の被ばくを少しでも軽減し健康への被害を避けるために万全の方策をとる責任がある。しかし、この広報には、その責任を回避し、必要な手立てをとることを放棄した上、もう避難は必要ないとばかりに、汚染された地域に住民を強制的に帰還させようとしていることを合理化する意図が透けて見える。
●講演のまとめに沿って、その内容を個別具体的に見る
◆中川恵一氏は、多くの国民が心配する被ばくによるさまざまな影響についてことごとく否定し、今後も被ばくの影響は起きないと主張している。
福島原発事故で大量の放射性物質の放出があり、政府による避難指示が適切に行われず、無用の被ばくを多数の住民が強いられる結果になったにもかかわらず、被ばくによる影響があったとは一言も述べないばかりか、これからも被ばくの影響はあり得ないというのが中川氏の講演の基調である。
以下具体的に見るが、中川氏は被ばくの影響を否定するために、様々な欺瞞に満ちた手法を使っている。
① 遺伝的影響について、広島・長崎をもち出して否定しているが、アメリカの核戦略の中で政治的に扱われた資料にもとづく結論をストレートに受け取ることはできないし、チェルノブイリや福島で動植物で起きている影響が人には絶対に起きないとすること自体が非科学的である。
② 鼻血については、福島の状況とは異なるにもかかわらず、自らの医療経験を引き合いに出して事実そのものを否定している。これは、事実を丹念に調査し、分析することで出すべき結論を、頭から否定する非科学的態度である。
③ 被ばくによる心臓病の可能性については、心臓病はどこにでもあるという理由で頭から否定しているが、医療にかかわる専門家とは思えない暴論である。
④ 「証明するのは困難」といいつつ、「100ミリシーベルト以下の被ばく量では、がんの増加は確認されていません」と強弁している。
⑤ 福島での被ばくは100ミリシーベルトよりはるかに少ないという主張は、文部科学省が集計している各地の累積線量が、汚染の最も深刻であった事故直後の8日間分を欠いていることからみて確証のない話であり、もっと被ばく量が多かった可能性が大である。
⑥ 中川氏は、子どもたちに発見された多数の甲状腺がんは、「大規模な検査をすることで発見が増えるのは当然」と断言し、放射線の影響を完全に否定している。しかし、福島県の示したデータに基に行われたいくつかの分析によって線量の高い地域で甲状腺がんが多いという関係が示されており、このような主張は破綻している。
⑦ また、セシウムのガンマ線が体を貫通するため「外部」と「内部」で比較して変わらないとし、この「外部」と「内部」の比較を「外部被ばく」と「内部被ばく」の比較にすり替えて、「外部被ばくより内部被ばくが怖い」ということを否定している。体外から放射線を浴びる外部被ばくとは異なり、体内にとり入れた放射性物質による内部被ばくは、特定の細胞が集中的に被ばくし、かつガンマ線だけでなく他の放射線も当たるという条件の違いがあり、このことが内部被ばくに特別の危険性が生じる原因であることをごまかしている。
⑧ 発がんリスクの原因を、気持ちの持ちようや生活習慣にすり替え、被ばくのリスクをあいまいにしている。
中川氏は、上記のように被ばくによる健康被害をことごとく否定したうえで、福島の人々が注意すべきなのは、心配しすぎることであり、運動をしないことや喫煙、飲酒など生活習慣の悪化や糖尿病によるガンの増加であるとしている。
被ばくによる健康被害の発生を防ぐために、免疫力を高め、生活習慣病などを防ぐことが大切なのは言うまでもないが、運動不足を含め、生活環境・住環境の悪化、地域の生活基盤の破壊、コミュニティの破壊、人間関係の悪化、将来の不安・絶望等によるストレスなど、健康への悪影響が生じている根本原因が原発事故に伴って発生したものであることを問題にすべきであろう。
当人には全く責任のない生活環境等の悪化や健康被害をもたらした原因をごまかし、健康維持を自己責任に帰すことによって、国や東電が無用な被ばくを可能な限り排除するための方策をとらないことを合理化し、その責任を免除することになっている。
◆レティ・キース・チェム氏の講演について
この人物は国際的権威として登場しているが、IAEA やICRP(国際放射線防護委員会)の主張には、これらの組織の性格から政治的なバイアスがかかっている。すなわち核開発や原子力発電等の推進を行ううえで、その仕事に従事する人間にどこまで被ばくを強いることができるかというのを求めるのが基本的立場である。安全優先の立場ではないために、これらの組織が主張する「被ばく限度」とは、安全量ではなく、「がまん量」というべきものである。
① チェム氏は「放射性物質による放射線の放出は、われわれ地球の営みの一部」という言い方で、人為的な放射線源を列挙しながら、事故によって放出された放射性物質まで容認すべきものであるかのように印象付けようとしている。
② また、自然放射線の地域による違いを述べ、日本は世界の中で「平均以下」と述べることで、事故による無用な被ばくを受けても大したことはないと感じさせようとする意図が透けて見える。
③ がんなどの放射線治療は、がん征圧のメリットと被ばくのリスクと天秤にかけて、本人が自らの意志で選択するものである。このような例を持ち出すことによって、本人が望んでもいないうえに、被害しかもたらさない原発事故による被ばくまでもやむを得ないものだと思わせようとしている。
④ チェム氏は「原子力事故が発生した地域で住み続ける人の被ばく限度は、基準値である年間20ミリシーベルト」が科学的な基準であると述べている。しかし、年間20ミリシーベルトは緊急時の被ばく限度であり、それを事故から3年半もたった今、これから長期に日常生活を営む人々に押し付けることは異常である。しかも、そこには放射線被ばくの感受性が高い子どもも含まれるのであり、平和な生活を送る権利の著しい侵害である。
年間20ミリシーベルトは放射線業務従事者に適用されている被ばく限度であるが、放射線業務従事者の場合、雇用の代償として危険な自傷労働を受忍するものである。しかも、その場合でも、雇用者には可能な限り被ばくを軽減する措置をとり、また厳しい健康管理することを義務づけている。これと比べた場合、住民を年間20ミリシーベルトで帰還させることがいかに異常であるか明らかであろう。
政府は帰還の線量限度を20ミリシーベルトとしたうえ、従来からの空間線量率より「個人被ばく管理」を重視することをすすめようとしている。これでは、地域の空間線量を下げなくても、個人に線量計を持たせ、被ばく管理を自己責任に転化し、政府は何の手立てもとらなくてもよいことにされてしまう。住民に対しては公衆に対する平常の線量限度である年間1ミリシーベルトを下回るまで帰還を強制すべきではない。
●政府広報の国民的認知のたくらみと棄民政策は撤回されるべきである
◆上記のような「専門家」や「国際的権威」の主張を利用しながら、政府は、放射線被ばくによる被害・損害・リスクを徹底して過小評価し、それを科学的な評価であるように装っている。今、福島の人々や国民にとって最も必要なのは、政府のいう「正しい知識」を教えてもらうことではない。現実に進行している被害と苦難に対して、上記の「専門家」が主張するような予断をもって望むのでなく、事実に立脚した科学的な調査や、当事者からの聞き取り調査や実地調査を行い、被災者に寄り添った対策を進めることである。
実際には、政府の無策や被災者の希望を無視した対策、支援や救済の停滞などから、被災者と被災地はますます疲弊し、被害・損害・リスクはむしろ増大しつつある。その中で、政府広報は、政府の責任を糊塗し、健康被害を防ぐ手立てをとることなく、すべてを被災者の自己責任に押し付けるようとし、しかもそれを国民的規模で認知させようとするものであり、許しがたい。
◆政府広報のもとになっている講演を政府インターネットテレビで見たころ、明らかになったことが二つある。
第一に、中川氏が広報の文章に表現された以上の暴論を随所で吐いていることである。例えば、「甲状腺ガンは、高校生なれば持っている。60歳になれば検査すれば全員に甲状腺がんが見つかる。子どもたちも甲状腺ガンで命を落とすことはない。甲状腺検査はもうやめた方がよい」などとまくし立てている。
また、5ミリシーベルトの内部被ばくと5ミリシーベルトの外部被曝を比較して危険性は「同じ」だと説明しているが、被害の程度を表すシーベルト単位で計って同じ数値のもので比較して「同じ」ことの根拠とするのはペテンである。
さらに、中川氏は、ICRPの直線モデル(被ばく量と被害の発生が比例関係にあるとしたもの)も実質的に否定している。直線モデルは、100ミリシーベルト以下の被ばく影響はわかっていないので、「念のために」直線モデルにしたものだ。それはできるだけ被ばくを少なくしようという「心構え」であって、実際と「混同」してはだめだ。実際には「10ミリシーベルト以下であればガンは増えない。結局、福島では被ばくによってがんは増えない」と言い切っている。
第二に、政府広報が、講演の中で一部まともな発言があっても、それは広報には一切載せていないことがわかった。中川氏が、言い訳程度にしか聞こえないものの「被ばくはいいことではない」といったことや、チェム氏が、20ミリシーベルトという線量限度を提示した上で、「20ミリシーベルト未満であってもその数値をさらに削減する手段について検討すべきである」と述べたことがそれである。
◆以上のように、政府広報は、真実、すなわち本当の意味で正しい知識を国民に提示することなく、政府の姿勢と政策にとって都合のよいことだけを「正しい知識」と称して刷り込もうとするものである。低線量被ばくの影響については国際的に評価が分かれているが、安倍首相が本気で「国民の命と暮らしを守り抜く」と考えているなら、「予防原則」に立って、少しでもリスクの可能性のあることは避け、可能な限り被ばくを低減する方策を実行すべきである。
しかし、政府の基本姿勢は、福島の人々をはじめ国民に対して、被ばくを避ける権利、基本的人権でもある健康への権利を一顧だにしないことにあり、今後も浴び続けさせることが基本方針であると言わざるを得ない。
このようなことを断じて認める訳にはいかない。全国で原発を抱えている以上、明日は我が身である。このままでは、原発事故が起きても、我々は棄民政策の犠牲になるしかない。
☆放射能は怖くないと帰還と被ばくを強要する8.17政府広報「放射線について正しい知識を」
御用学者はディミトロ・M・グロジンスキー教授(ウクライナ国立放射線被曝防護委員会委員長)にどう反論するのか?
「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(岩波書店)「まえがき」を見てください
政府は、8月17日の新聞に「放射線についての正しい知識を」という全面広告を載せました。
内容は、「今月3日、政府は福島県より避難されている方々を対象に、放射線に関する勉強会を開催し、放射線に関する様々な科学的データや放射線による健康影響などについて専門家からご講演をいただきました。」として、中川恵一氏(東京大学医学部付属病院放射線科准教授)とレティ・キース・チェム氏(国際原子力機関保健部長)の講演内容をまとめたものでした。
中川恵一氏の方は、「放射線について慎重になりすぎることで、生活習慣を悪化させ、発がんリスクを高めている」という見出し、小見出しは「放射線の影響に関する深刻な誤解」「福島では被曝によるがんは増えないと考えられる」「運動不足などによる生活習慣の悪化が発がんリスクを高める」です。
レティ・キース・チェム氏の方は、「国際機関により設定された科学的な基準に基づく行動をとってほしい」という見出し、小見出しは「放射性物質は様々な場所に」「人体にとって有害な放射線量とは」「科学的な根拠に基づいた国際基本安全基準」です。
安倍首相が、今後も将来も福島の健康被害はないと断言したことを本当のことだと無理やり思いこませようとしています。国民に、現実を見せず、真実を覆い隠して、不安を押さえつけ、帰還・被ばくを強要する国家犯罪が、国際的権威を持ち出すことで推し進められようとしています。
しかし、事実の前に彼らの宣伝は崩れ去ります。
「福島の小児甲状腺がん増加はスクリーニング効果でなく、放射線被曝による」(医問研ニュ-スから)
http://ebm-jp.com/2014/08/news-464-2014-4-p02/
チェルノブイリ原発事故の真実についてまとめた「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(岩波書店)の「まえがき」として書かれたディミトロ・M・グロジンスキー教授(ウクライナ国立放射線被曝防護委員会委員長)の文書をぜひお読みください。
以下
「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(岩波書店 2013年4月26日発行)から
まえがき
ディミトロ・M・グロジンスキー教授(ウクライナ国立放射線被曝防護委員会委員長)
チェルノブイリの大参事が突如発生してこの世界を一変させてから25年以上が過ぎた。壊れた原子炉から排出された放射性物質が生きとし生けるものすべての上に降り注ぎ、わずか数日のあいだに、大気も水も、花も木も森も川も、そして海も、人間にとって脅威の源と化した。北半球全域で放射能が生活圏のほとんどを覆い尽くし、すべての生き物にとって潜在的な危害の発生源となった。
当然のことながら、事故直後、一般市民は非常に激しい反応を示し、原子力工学に対する不信をあらわにした。多くの国が原子力発電所の新規建設中止を決定した。チェルノブイリ事故による被害を緩和するのに巨額の費用が必要となったため、原子力発電はすぐに「高くつくもの」になった。こうした反応は、多くの国の政府、国際機関、原子力技術を担当する公的機関にとって都合が悪く、そのため、チェルノブイリ大参事で直接傷害を負った人々の問題、また、慢性的な放射線被曝が汚染地域の住民の健康に及ぼした影響にどう取り組むかをめぐって、ねじれた二極化が生じた。
立場が両極端に分かれてしまったために、低線量被曝が引き起こす放射線学・放射線生物学的現象について、客観的かつ包括的な研究を系統立てて行い、それによって起こりうる悪影響を予測し、その悪影響から可能なかぎり住民を守るための適切な対策をとる代わりに、原子力推進派は実際の放射性物質の放出や放射線量、被害を受けた人々の罹患率に関するデータを統制し始めた。
放射線に関する疾患が明らかに増加して隠しきれなくなると、国を挙げて怖がった結果こうなったと説明して片づけようとした。と同時に、現代の放射線生物学の概念のいくつかが突如変更された。たとえば、電離放射線と細胞分子構造のあいだのおもな相互作用の性質に関する基礎的な知見に反し、放射線の影響について「しきい値のない直線効果モデル」を否定するキャンペーンが始まった。また、人間以外のいくつかの生物組織で観察された低線量放射線の影響によるホルミシス効果にもとづいて、チェルノブイリ程度の線量は実は人間にも有益だと主張し始める科学者も出てきた。
この二極化は、チェルノブイリのメルトダウン(炉心溶融)から20年を迎えた2006年に頂点に達した。このころには、何百万人もの人びとの健康状態が悪化し、生活の質も低下していた。2006年4月、ウクライナのキエフで、2つの国際会議があまり離れていない会場で開催された。一方の主催者は原子力推進派、もう一方の主催者は、チェルノブイリ大参事の被害者が現実にどのような健康状態にあるかに危機感をつのらせる多くの国際組織だった。前者の会議は、その恐ろしく楽観的な立場に当事者であるウクライナが異を唱え、今日まで公式な成果文書の作成に至っていない。後者の会議は、広大な地域の放射能汚染が住民の健康に明らかに悪影響を及ぼしているという点で全会一致し、ヨーロッパ諸国では、この先何年にもわたって放射線による疾患のリスクは増大したまま減少することはないと予測した。
私はずっと考えてきたのだが、今こそ、一方にはテクノクラシーの信奉者、もう一方にはチェルノブイリの放射性降下物に被曝した人々に対する悪影響のリスクを判定する客観的かつ科学的手法の支持者、という対立に終止符を打つときがきている。リスクが小さくないと信じる根拠には強い説得力がある。
1986年以降の10年間に関してソビエト連邦とウクライナの政府委員会が作成した事故当時の文書が機密解除され、その中に急性放射線症で入院した多くの人々のデータが含まれていた。その数は、最近の公式文書に引用されたものより2桁多かった。放射線被曝によって病気になった人を数えるのにこれほどの違いがあることを、どう解釈すればいいのだろうか。医師の診断がみな誤診だったと考えるのは根拠がない。鼻咽頭の疾患が広がっていたことは、メルトダウン直後の10日間にすでに多くン人が知っていた。どれほどの量あるいは線量のホットパーティクル(放射性微粒子)が鼻咽頭の上皮に付着して、この症状を引き起こしたかはわからない。おそらく一般に認められている数字よりも高かったのだろう。
チェルノブイリの大参事による被曝線量を年間通算で推計するには、地表および樹木の葉に降下した放射性物質による被曝を考慮することが決定的に重要である。こうした放射性下降物に含まれた半減期の短い放射性核種が、多種多様な食物を汚染した。これらの(短寿命)核種のうち、いくつかの放射能値は、1987年いなってもなお、セシウム137(Cs-137)やストロンチウム90(sr-90)による汚染を上回っていた。したがって、セシウム137の線量尺度のみにもとづいて被曝線量を算出する決定では、実際の累積実行線量を明らかに過小評価することにつながる。内部被曝線量は、さまざまな地域で牛乳とジャガイモに取り込まれた放射能にもとづいて規定された。ウクライナ領内のポレーシエ地帯(湿地帯)では、摂取される食物のかなりの割合をキノコなどの林産物が占めているが、その放射能量は考慮されなかった。
外部放射線被曝と内部放射線被曝とでは、(生物の身体に及ぶ)細胞遺伝学的な影響の面から見た生物学的な効率が異なり、内部被曝のほうが大きな損傷を与えるが、これもまた無視された事実の1つだ。このように、特に原子炉事故直後の1年に関し、被曝線量が適切に推計されていないと考えることには根拠がある。この結論は、大参事後20年間における罹病率の増加に関するデータによっても裏づけられる。何よりもまず、子どもの悪性甲状腺疾患に関して非常に具体的データがあり、これについては、病気お主因として「放射能恐怖症」説を支持する陣営でさえ否定していない。時が経つにつれて、潜伏期間の長い腫瘍性疾患、とりわけ乳がんや肺がんが増加した。
また、年とともに悲がん性疾患が増加して、チェルノブイリ大参事によって放射能汚染された地域の子どもの罹病率が高まり、「健康といえる子ども」の割合が減り続けている。たとえばウクライナのキエフでは、メルトダウン前は90%の子どもが健康とみなされていたが、現在その数字は20%である。ウクライナ領内にあるポレーシエのいくつかの地域には、もはや健康な子どもは存在せず、事実上すべての年齢層で罹患率が上がっている。疾病の発生頻度は、チェルノブイリの事故以来、数倍になってっている。心臓発作や虚血性疾患が増え、心血管系疾患が増加していることは明らかだ。これに伴って平均寿命が短くなっている。子どもと成人の両方で中枢神経系の疾患が懸念材料である。眼の病気、特に白内症の発生数が急増している。強い懸念材料として、妊娠の合併症と、いわゆる「リグビダートル(事故処理作業員)」の子ども、および放射性核種交汚染地域からの避難者の子どもの健康状態が挙げられる。
こうした説得力のあるデータがありながら、原子力エネルギー擁護派の一部はもっともらしさを装い、放射線が住民に及ぼした明らかな悪影響を否定している。実際に、医学生や生物学に関する研究への資金提供をほぼ全面的に拒否したり、「チェルノブイリ問題」を担当していた政府組織を解体したりすることさえある。また原子力ロビーの圧力の下、官僚が学術専門要員をチェルノブイリに由来する問題の研究からはずして異動させた例もある。
生物学および医学の急速な進歩は、慢性的な核放射線被曝によって引き起こされる多くの疾患をいかに防ぐかを見出すうえで希望の源である。ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの科学者と医師がチェルノブイリ大惨事後に獲得した経験を踏まえたならば、そうした研究ははるかに急速に進むはずだ。今日われわれに開かれている機会を逃すことは大きな過ちだろう。われわれは、偏りのない客観性が勝利をおさめ、その結果としてチェルノブイリ大惨事が人と生物多様性に及ぼした影響を見きわめようとする努力に全面的な支持が寄せられ、さらにはわれわれが今後、技術の進歩と、広く道義を重んずる態度を身につけていく際、そうした客観性がよるべとなる……そんな日をめざさなければならない。その日が来ることを待ち望み、信じなければならない。
本書はおそらく、チェルノブイリが人びとの健康と環境に及ぼした悪影響に関するデータを、もっとも多く広く包括的に集めたものである。本書の報告には、そうした悪影響は減少するどころか増大しており、将来にわたって増え続けることが示されている。本書の主たる結論は、「チェルノブイリを忘れる」ことは不可能であり、また誤りだということである。この先幾世代にもわたって、人びとの健康も自然の健全性も悪影響を受け続けることになるだろう。
☆“被ばくを避ける手立ては必要ない”と刷り込む政府広報
2014.8.22大阪市教委との「協議」に注目を!どなたでも参加歓迎です
(呼びかけ:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク 問合せ 松田 09011385776)
集合…14:45 大阪市役所1階市民ロビー
協議…15:00~17:00 大阪市役所地下1階第1共通会議室
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワークでは、関西原子力懇談会・文科省の放射線「安全・安心」教育に反対し、子どもたちに福島第1原発事故と放射能汚染・被ばくの健康被害の真実を伝える学習の実現に向けて、大阪市教委への要請を続けてきました。2012年11月5日に原発事故にかかわる要請書を提出して以降、大阪市教委と3回の「協議」をもち、来る8月22日(金)に第4回目の「協議」を予定しています。
大阪市教育委員会(大阪市)は、市民団体の要請書、回答、「協議」議事録について、ホームページに公開することになっていますが、これまで、「関西原子力懇談会」「関西電力」の名前やNHK出版「低線量汚染地域からの報告」・岩波書店「調査報告 チェルノブイリ 被害の全貌」の書籍名に墨塗りをしていました。この間、私たちは、その墨塗りに根拠がないと追及し、誤りを認めさせて、墨塗りを消させてきました。「大阪市教育委員会ホームページトップ→団体等との交渉状況→各種団体との協議等→団体との協議等の実施状況一覧」で見ることができます。
2013年1月8日協議
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000196559.html
2013年7月12日協議
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000222429.html
2013年12月11日協議
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000240193.html
そして、2014年8月22日の「協議」の素材である2014年3月11日付の要請書と6月13日付の市教委回答は以下で見られます。
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000270855.html
2013年12月11日の協議議事録と2014年6月13日の市教委回答を比べてもらえば、市教委が約束したこともほとんど先延ばしにして何もしていないことがわかります。文科省新放射線副読本の評価・扱いや関原懇の教育介入事業「放射線教育サポートシステム」の大阪市立学校での利用状況公開などにかかわって、市教委に行動を迫り、福島第1原発事故と放射能汚染・被ばくの健康被害の真実を子どもたちに伝えていく一歩にしたと思います。8月22日(金)の大阪市教委との「協議」にご参加下さい。
以下は、その「協議」に向けて、8月11日付で事前提出した要請です。この10の質問に答えてもらってから個別課題の「協議」に入りたいと思います。
2014年8月11日
大阪市教育委員会
教育委員長 大森 不二雄 様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
〒537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F
FAX:(06)6976-9818
(本件の担当:松田)
8.22「協議」に向けた要請
~3.11付「原発事故と放射能汚染にかわる学習についての要請」への6.13付回答に関わって~
3月11日付で提出した「原発事故と放射能汚染にかかわる学習についての要請」への回答(6月13日付)を受け取りました。その回答に関わる「協議」の場が8月22日に設定されましたので、その場で、回答に関わって説明を求めたい点について、事前にお伝えしておきます。協議の場で、以下の点について説明をお願いします。
(1)文部科学省の新しい放射線副読本の評価と扱いについて
3月11日付「要請」の「私たちの指摘(「たとえば次のような問題」として7点を列記)を踏まえて文部科学省の新しい放射線副読本についての評価と扱いを示してください。」に対する回答は「…今回、文部科学省が新しく作成した副読本は、児童生徒が学校教育において学習する際の一助となるものと考えております。今後、学校現場での活用に向けては、各校における指導実態や状況を把握したうえで今年度中に文部科学省から示される予定の解説書又は指導案等をもとに、学習指導要領に基づき適切に指導を行うよう各校に指示をしてまいります。」でした。この新放射線副読本は大阪市立学校すべてに全児童生徒数分が送られていますが、これは昨年10月、文科省の希望数調査に対して、各学校に問い合わせることもなく、市教委の責任で送付依頼したためです。昨年12月11日に行った「協議」の中で、市教委担当者は「現在作成中であることから事前に現物は見られないという状況があり、実際に各校で使用するか否かについては、現物が届いてから中身を精査して判断する。」(議事録)と答えていました。以上の経過を踏まえて、以下について説明ください。
① 2013年12月11日以降これまでに、各学校に対してどんな連絡・指示をしましたか。
② 福島第原発事故や放射能汚染についての学習は、学習指導要領に規定されていません。
放射線副読本回答中の「学習指導要領に基づき」の意味を説明してください。
③ 文科省に問い合わせたところ「解説書又は指導案等の作成は決まっていない。白紙で
ある。」との回答をえています。私たちが要請書で示した7つの問題点についての見解
をそれぞれ示してください。
④ 原発事故の1つの大きな教訓は、与えられる情報だけを待っていては必要な正しい情
報は得られないということだと考えます。自分で情報を求め、判断していく姿勢が「命
を守る教育」にとって大切だと考えますが、それに対する考えを聞かせてください。
⑤ 市教委の責任で全児童・生徒数の新放射線副読本を配布した経過に立って、これまで
の市教委の動きについての自己評価と今後やることを具体的に示してください。
(2)学校現場での原発事故と放射線に関わる学習の現状・実践集約について
昨年12月11日、「『協議』に出席した教育委員会事務局の担当者からは、放射線に関わって教育現場でやられている実践の現状、問題点について調査すると約束していただきました」(3.11要請書)ので、「昨年12月11日の「協議」の場で約束いただいた、放射線に関わって教育現場で行われている実践の現状・問題点についての調査結果を明らかにして
ください」と要請したところ「現在、各校における放射線に関わる教育実践の状況を把握するための調査の準備を進めているところです。」との回答をいただきました。
⑥ 昨年12月に約束いただいた調査がまだ実施できていない理由を教えて下さい。
⑦ 事前に進捗状況を伺ったところでは「8月末、あるいは9月初めには、調査用紙を
降ろす予定」とのことでした。「調査内容・調査項目」を具体的に教えてください。
(3)「放射線教育サポートシステム」の利用状況について
「放射線知識普及連携普及プロジェクト(事務局:関西原子力懇談会)が実施する『放射線教育サポートシステム』の大阪市立学校で利用状況(教育研究会など教職員団体の利用状況を含む)を明らかにしてください」への回答は「平成25年度に実施された『放射線教育サポートシステム』の利用状況につきましては、今後実施予定の各校における放射線に関わる教育実践の状況調査のなかで、あわせて調査をすることとしております」でした。
⑧ 利用状況の調査をする場合、実施団体にも問い合わせるのが普通だと思います。その
ことは、回答を受け取ってからすでにお伝えしていますが、問い合わせはされましたか。
(4)学校における防災教育の手引き等や大阪市地域防災計画について
⑨ 現在、「大阪市地域防災計画」「防災指導の手引き」ともに、福井の原発事故を想定し
たものはないとの回答であると思います。要請書にある「『学校における防災教育の手引
き』(琵琶湖が放射性物質で汚染された場合の対策も含む)や『課業時間帯での福井の原
発事故を想定した対応策』(SPEEDIによる放射能影響予測情報の学校現場での入手、ヨウ
素剤の配布の判断とその手順、保護者との連絡、帰宅か学校待機かの判断等々)」の策定
は必要ないとの認識ですか。「今後、危機管理室も含めて関係諸機関と連携しながら、各
学校園における防災教育の充実を図ってまいります。」の意味を説明してください。
(5)大飯原発等への再稼動への意見表明について
➉ 回答では、原発事故に対して、教育委員会が児童・生徒の安全にどう責任をもとうと
しているのかがわかりません。大飯原発等の再稼動の問題にかかわって、教育委員会の
責任についてどう考えているのか説明してください。
7月13日文科省新放射線副読本を問う集い
授業で伝えたい 原発事故と被害の深刻な実態
文科省新放射線副読本を問う集い
日時:7月13日(日)13:30~16:30
場所:エルおおさか南館101号室
内容:●講演「文科省新放射線副読本にだまされないために」
講師 市川章人さん(京都・高校理科教員)
●私は言いたい!~新放射線副読本を読んで~
●生徒が自ら考える学習の保障をめざして~学習プランの提案~
参加費(資料代):500円
主催:原発学習交流会・大阪
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク学校教育関係部会
問い合わせ:松田(携帯 090-1138-5776)
E-mail matsuda-f@r8.dion.ne.jp
文科省は新放射線副読本を制作し、今年3月全国の小・中・高校に送付しています。今年度すでに配布した学校も出てきています。この副読本は、福島第1原発事故にまったくふれず、「放射線はもともと身近にあり、怖くない、有用なもの」と宣伝する2011年10月制作の放射線副読本(日本原子力文化振興財団受託・制作)に対する批判の広がりの中で、文科省が改訂せざるをえなかったものです。その中で、新副読本には「原子力発電所事故について」という項目が加わりましたが、その事故についての記述は深刻さが見えないリアリティを欠くものであり、放射能汚染による健康被害の危険性、健康被害が疑われる現実にふれることなく、避難指示解除や食品中の放射性物質の基準値についての政府方針に疑いをはさむことはもちろん、健康不安を抱くことさえ、「風評被害」の一言で抑え込む内容になっています。原発依存社会に疑問を抱かない子どもを育てようとする副読本と言えます。
私たちは、子どもたちには、福島第1原発事故という破滅的な災害・被害の現実と実態をしっかり見据え、何事も自らの頭で考え、判断できる力をつけることができる学習を保障すべきだと思います。このつどいでは、京都の高校理科教員市川章人さんを講師に迎え、文科省新放射線副読本の問題点と子どもたちに保障すべき学習内容を明らかにしたいと考えています。文科省新副読本には「風評被害」「福島差別」のことばで健康被害の現実を抑え込もうとした「美味しんぼ」問題と同じ構造が存在しています。新副読本について考えることは、私たち自身が何を知り何を考えるべきか問い直すことにもつながっています。広くみなさんのご参加を呼びかけたいと思います。
原発事故と放射能汚染に向き合う学習内容の創造をめざして~1.5学習・意見交流会~
☆放射線教育サポートシステムについての大阪市教育委員会回答がありました(10月18日)
9月11日付の私たちの「要請と質問」に対する回答が、10月18日付で送られてきました。これらは、10月25日に大阪市教育委員会のホームページ(団体との協議等の実施一覧)にアップされています。
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000240193.html
回答では、「『放射線知識普及連携プロジェクト』は『関原懇』がつくったものという指摘を認めるか」という問いに直接答えず、「『放射線教育サポートシステム』は放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」とする回答を維持しています。私たちの指摘を踏まえ、どんな調査をしたのか、この回答は原子力産業の利益のための事業であっても認めるということか、と回答の意味を追及したいと思います。
また、「近大原子力研究所の『原子炉実験・研修会』の参加状況については、回答では、「現在調査中であり、その結果についてお伝えできることは別途報告」となっていますが、電話での問い合わせに、「大阪市の中学校理科教員1名が7月23日・24日の研修会に参加。交通費は支給していないが、出張扱い。」との回答がありました。この研修会は日本原子力産業協会の委託事業で、交通費・参加費・宿泊費・食事代全て無料の接待研修会ともいえるもので、この研修会参加を出張扱いしていいのかということも追及したいと思います。
今、原子力ムラの意を受けて、放射線「安全・安心」教育を教育現場で広げていくために、文科省の委託事業として教育職員セミナーや「出前授業」が行われています。これを批判するとともに、子どもたちに届けるべき情報・知識を整理し、教育内容を創造していくことも課題です。回答では、「現行の学習指導要領を踏まえつつ、原発事故等の様々な状況についても採りあげながらどのように授業を進めていくのか、教育関係機関・団体等とも連携し研究してまいります」としています。現行学習指導要領は、福島第1原発事故前に作られた放射線「安心・安全」教育=放射線副読本の方向の教育内容を規定したもので問題があります。そのことを指摘しながら、「正しい理解」の内容を問い、伝えるべき事実・情報を創造し、提案していきたいと思います。
皆さんのご協力をお願いします。
☆市川章人さん講演会DVDができました。
10.14市川章人講演会がDVDになりました。1枚500円で販売します。
「放射線『安全・安心』教育」にだまされず、原発事故の現実を理解し、命を守るために必要な知識を得ることができる内容です。購入を希望される方は、下記に連絡ください。
matsuda-f@r8.dion.ne.jp
☆「市川章人さんの講演資料」に、講演会当日のパワーポイントをアップしました♪
ぜひ、そちらのタブをご覧ください。
☆市川さんの講演資料をアップしました。ぜひ、ご覧ください♪
10月14日(月・休)の「現場からの告発…京都府教員市川章人講演会~放射線『安全・安心』教育にだまされないために!~」(13:30~16:30 天満橋エル大阪 南館103号室)へ向け、呼びかけを進めています。
より多くのみなさんに、この講演会の内容を知っていただきたいと考え、「市川章人さんのレジュメ(Ver40☢☢)『原発・放射能の正確な理解のために―正しく知って、正しく怖がり、正しく対処しよう―』」をアップしました。
ぜひダウンロードしていただき、多くの方にこの講演を広げていっていただけたら…と思います。
500円の参加協力券を販売しています。(問い合わせ:松田090-1138-5776)
ご協力よろしくお願いいたします。
市川さんが今年7月26日、27日、沖縄で講演された時のようすが以下のブログに紹介されています。
http://satoru-kihara.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/07/post.html
講師(市川章人さん)紹介:
1948年京都府福知山市生まれ。京都大学理学部で原子物理学を専攻。学生時代の実験でガンマ線を隣室からあびる事故も経験。京都府立の高校で物理を教え、定年退職後も非常勤講師として教えている。
【著書】「福島から学ぶ原発・放射能」(著者)市川章人・小野英喜(監修)安斎育郎/かもがわ出版
【市川章人さんのレジュメ(Ver40☢☢)「 原発・放射能の正確な理解のために ―正しく知って、正しく怖がり、正しく対処しよう―」 から、巻頭言】
2011年3月11日福島で、人類史上空前の4基同時の原発事故が発生、翌日には爆発という破滅的事態に陥った。その後2年たったにもかかわらず、いまだに15万人が住む地を追われ100万人以上が放射線管理区域(☢マークの場所)と同様の状態での生活を強いられ、不安な生活を送っている。放射能除染や被害補償も遅々として進んでいない。原発を推進した国と電力会社が、何度も想定を超える事故の可能性を指摘されながらも安全対策を怠ってきた経過をみれば、事故は起こるべくして起こった人災である。
原発事故は他の施設の事故にはない深刻で異質な被害をもたらす。放射性物質はもれ出たら最後、完全に抑え込む手段はなく、広く国を超えて地球環境を汚染し、生活の手段も場も人々のつながりも奪って地域社会を丸ごと壊滅させ、50年100年と未来の子々孫々にまで危険を及ぼす。今なお、原子炉内部の正確な状況はつかめず、事故原因も未解明で、放射性物質のもれを止めることができない。放出された放射性物質は重さにしてヨウ素で約100g、セシウムで約5kgであるが、この重量でこれほど甚大な被害をもたらす。
これまで日本の原発が生産した死の灰(放射性物質)は広島原発の100万倍以上に達し、各原子力発電所に置いてある。一方、日本列島は地質学的にみて世界でもっとも頻繁に地震が発生する地帯であり、今後も甚大な原子力事故が起きる危険性を抱えている。
生命と健康、とりわけ子どもを守るためあらゆることをしなければならない。しかし子どもを守るだけの対象にしてはならない。子ども自身が判断し、自らを守る力を持たなくては、安全安心の未来は創れない。大人も子どもも、事実を正確に知り、危険性を科学的に理解し、正しく対処できるようにならなければならない。
なぜ原発事故はこれほど異質な被害をもたらすのだろうか?そもそも原発をどうするべきか?放射線の被害の特徴は?放射能汚染にどう立ち向かえばいいのだろうか?自然エネルギーを選択した場合の社会の展望は?・・・科学の目で本質を正しくとらえるためにこの資料が役立つなら幸いである。
2013.7.11(市川章人)
☆9/16(月・休)は、「避難者とともに、放射能健康診断などの要求を、大阪市へ求めていく集い」にご参加ください。
9/16(月・休) 10:00~12:00 避難者とともに、放射能健康診断などの要求を、大阪市へ求めていく集い(京橋・クレオ大阪東 和室)
「子ども・被災者生活支援法」の実施を求める声の高まりの中で、復興庁は「基本方針案」を公表しましたが、これまで全国の避難者が求めてきた内容とは、大きく後退したものでした。
大阪市は、議会として具体的施策の早期実現を求める意見書を可決してた責任性からも、直ちに避難者の声を受けとめて、「子ども・被災者生活支援法」の基本理念に基づいた施策を求めていくべきです。
私たち(子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク)は、放射能健康診断などの要求を、大阪市において実現していくために、避難者の方たちと話し合い、取り組みを進めています。
今回は、避難者要求を先進的に実現されようとしている堺市から、「避難・移住・帰還の権利ネットワーク」の方にもご参加いただき、大阪市での要求実現のための、具体的な取り組みを話し合っていきたいと思います。
多くの方のご参加、よろしくお願いいたします。
交通アクセス:
・京橋駅 (JR線) 南口から南へ約600m
・大阪ビジネスパーク駅 (地下鉄・長堀鶴見緑地線) 4番出口から東へ約700m
・京橋駅 (京阪線) 中央口から南へ約850m
参加費:300円
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(子ども大阪ネット)
http://kodomoosaka.jimdo.com/
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
(この件の担当:奥西
080-5351-4235
yusarii.families@ezweb.ne.jp)
《大阪市へ申し入れた要求への回答協議の場にも、ぜひ、ご参加ください!》
【「放射能健康診断と、医療補償の実施を求める申し入れ」要求項目】
(1)自治体施策として、保健所が行っている各種がん検診にプラスして、希望するすべての市民に放射能無料検診を実施すること。
(2)「大阪市に避難してきて良かった」と安心を与えられるように、次の施策を実施していくこと。
・放射能無料検診と医療保障。保健所が行っている各種健診の適用
・住宅の提供。災害救助法による延長、それを越える支援策(自主避難者)
・雇用支援。情報提供にとどめず雇用につながる支援
・保育所、幼稚園入所と保育料等の免除。給食費等の免除
・食の安全、検査体制の拡充
・保養プロジェクトへの補助金支出
・避難者総合窓口の開設
☆10.14「原発・放射能は今…市川章人講演会」にご参加ください
「正しく怖がろう」のキャッチコピーで「放射能は怖くない」宣伝がいたるところでやられている今日、私たちが本当に知るべき事実とは?子どもたちに伝えるべき真実とは何か?をはっきりさせたいと思い、市川章人さんの講演会を企画しました。みなさんの参加をお待ちしています。
原発・放射能は今…
本当に知るべき事実とは?
市川章人講演会
日時:10月14日(月・祝)
13:00会場 13:20開会 16:30閉会
場所:エル大阪南館103号室
講師:市川章人さん
参加費:500円(資料代)
主催:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(学校教育関係部会)
連絡先:松田(090-1138-5776)
matsuda-f@r8.dion.ne.jp
講師(市川章人さん)紹介:
1948年京都府福知山市生まれ。京都大学理学部で原子物理学を専攻。学生時代の実験でガンマ線を隣室からあびる事故も経験。京都府立の高校で物理を教え、定年退職後も非常勤講師として教えている。
【著書】福島から学ぶ原発・放射能 (著者)市川章人・小野英喜(監修)安斎育郎/かもがわ出版
講演内容:
① 原発事故の異質性と実態
・人間の生存を根こそぎ奪う破滅性
・事故処理は破たん寸前
② 原発と共存可能か?
・核分裂がすべての災いの根源
・使用済み核燃料がどうにもならない
③原発は地震に耐えられるのか?
・世界一激しい地震地帯
・新規制基準の真の目的
④ 放射線の生命への影響は?
・五感では捉えられない放射線
・軽視されてきた低線量被曝と内部被ばく
⑤ 環境や食品に今何が?
・チェルノブイリを超える汚染状況も
・食品を通して全国に内部被ばくの危険
⑥子どもたちに真実と力を
・新服毒本は「副読本」
・子どもたちに自分を守る知恵と力を
呼びかけ:
3.11の原発事故以来、私たちは日常的に「放射能、放射線」と向き合わざるをえない生活を送っています。解決のめどがつかない福島原発の汚染水漏れや土壌汚染、食生活への影響、健康被害…。マスコミでは事故や現状の報道はあっても、そこから身をまもるには?といった具体的提案は見かけません。
一方で、事故による最大の人的影響は「不安」であるとし、「放射線を正しく理解し、
正しくこわがるために」のキャッチコピーで、「放射線怖くない」教育が始まっています。
一見すると「そのとおりだ」と納得してしまいそうですが、この教育を推進しているの
は、福島第1原発事故や放射能汚染の事実を知らせず、被災者の健康被害の現実から目をそむけつづけたい国際原子力ムラなのです。利権のために真実を隠す姿勢は、果たして科学的といえるでしょうか?
京都の高校の理科教員市川章人さんは、福島第1原発事故前から、生徒たちに事実に基づく「原発・放射能」問題の授業をしてこられました。深刻な放射能汚染が広がってしまった今、私たちは何を知る必要があるのか、ほんとうに「正しく知って、正しく怖がり、正しく対処する」とはどんなことか。市川章人さんに、お話して頂きます。私た
ち自身のために知るべき事実とは何かがわかる講演会、隠されている事実=真実にふれて、現実の世界にしっかり目を開いていく契機になる講演会になるものと思っています。
ご参加をお待ちしています。
市川さんのメールから:
私は、高校教師になって物理や理科基礎を担当し、定年退職後も京都府立高校で非常勤で理科を教え、今は地学基礎を教えていますが、授業では、原発事故についてもスリーマイル原発事故以来、ずっと教えてきました。科学技術に関わって社会的な判断をしなければならないことがたくさんあり、そのような知識と判断力をもつためにも物理を学べと生徒に強調してきました。
1986年は4月に原子核分野の授業から入り、原発事故を教えた翌日にチェルノブイリ事故が起きました。直後の降雨の放射能を当時の高校にあったガイガーカウンターを向けて、性能が低い装置にもかかわらずたいへん強く反応したのを生徒とともに確認しました。JCO事故の時には翌日の授業で「大変気の毒だが、作業員の中で必ず死者がでるにちがいない」と言い、生徒たちは科学的根拠が分かるだけに事の深刻さを真剣に受け止めてくれました。JCO事故の後も変わらなかった政府の対応から「次の重大な原発事故を起こすのまちがいなく日本だ」と言い切ってきましたが、不幸にも的中しました。
3.11の事故以来、かつてなく幅広い人々が原発と放射能について本当のことが知りたいと願って全国各地で学習会がもたれましたが、私も職場の周辺地域の住民に学習会講師を依頼されたのがきっかけで、各地からの依頼が広がりました。講演は限られた時間でたくさんのことを伝えたいために、パワーポイントで図や表を多用しながら話してきましたが、このこともあって「わかりやすい」と評判が口コミでひろがり、怒涛のごとく学習会の講師依頼が来るようになりました。
さらに、人々がただ怖いと感じるだけでなく、科学的内容も含めて真実を具体的に知ることが、原発をなくし被害の拡大を防ぐうえで絶対に欠かせないと考えて、以前職場の同僚で今も教育研究で協力し合っている小野英喜氏とともに京都民報という週刊新聞の編集長と交渉し、『1からわかる原発・放射能』という記事を2011年7月から半年間連載しました。これは読者の大反響を呼び、京都民報社は連載途中で冊子にし、終了後に増補版を出して全国的にも広めました。また、小学高学年から読め、合わせて教師や親にも読んでほしい本として、かもがわ出版から『フクシマから学ぶ原発・放射能』という本も出版しました。これも学習会に参加してくれた人の間で一気に広がりました。
これらのこともあって京都府下以外からの講師依頼も増え、これまで通算210回以上の学習会に出かけ、7月末は沖縄にも招かれて原発・放射能の講演をしてきました。
http://satoru-kihara.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/07/post.html
子どもを守れと必死の母親の団体や保育所関係をはじめ実に幅広い分野の組織、団体から講師依頼を受け、運動団体でない組織も数多くあり、自分たちが判断できるようになりたい、何かしたいという熱意と行動力にはすごいものがあり、このような人々が増えることが社会を変革していく大きな流れにつながると肌で感じてきました。
☆学校に届いた2つの通知(放射線に関する「教職員セミナー」と「出前授業」)
☆8.4 第3回放射線教育を考えるつどい案内
第3回放射線教育を考えるつどい
~放射能の健康被害隠蔽を許さず、原発事故・放射能汚染の現実に向き合う教
育を~
日時:8月4日(日)12:00~14:00
場所:コミュニティーハウス「ポポロ」
(東成区中道3-11-15 JR玉造より北東徒歩5分)
主催:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
(連絡先)松田090-1138-5776
内容・趣旨
文科省「放射線副読本」や関西原子力懇談会の教育介入事業「放射線教育サポ
ートシステム」に反対し、命を守る教育を求めて活動してきましたが、教育に介入し
ている原子力ムラの姿がよりはっきり見えてきました。近畿大学原子力研究所の夏休み宿泊研修会の1つは日本原子力産業協会(原発立地自治体を含む会員約450団体、会費約6億円の日本最大の原子力ムラ)の委託事業であり、もう1つは役員・会員も明らかにしない関電の世論工作組織・関原懇と共催です。彼ら原子力ムラは、放射能汚染の健康被害を隠し、避難者を福島に帰還させて、原発再稼働、原発輸出を推進しようとしています。そのために教育を初めあらゆる分野で、「放射能・放射線は怖くない」と宣伝しています。このような被ばく強要の宣伝を許さず、「命を守る教育」「未来を選択する力を育む教育」を実現しなければなりません。
第3回放射線教育を考えるつどいでは、この間の活動経過を振り返り、また、平
和と民主主義をめざす全国交歓会第4分野別討議「放射能による健康被害を止め
よう」での文科省放射線副読本反対の取り組みをしている関東の人たちとの交流・
討議を紹介して、今後の活動を考えあいたいと思います。多くのみなさんのご参加
をお待ちしています。
なお、つどいでは、世界原子力協会が作成し、日本原子力産業協会が日本語字
幕をつけた、原子力ムラの「放射能は怖くない」宣伝映像「福島とチェルノブイリ~
虚構と真実~」(約13分)も観ます。原子力ムラの宣伝ポイントをつかみ、反撃する
内容について考え合いたいと思います。
☆8/4(日)は、「大阪市に対しての要求をまとめる集い」にご参加を!
希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を、大阪で実現していくために。
避難者の方にもご参加いただき、 「大阪市に対しての要求をまとめる集い」にぜひ、ご参加ください。
8月4日(日) 15:30~16:30(予定)@ 共同スペースひまわり
(JR大阪環状線・東西線・京阪・地下鉄京橋駅から東へ徒歩8分)
「子ども・被災者生活支援法に基づく具体的施策の早期実現を求める意見書」は、大阪市会をはじめ、京都府向日市,長岡京市,木津川市,八幡市,堺市,奈良県大和高田市においても可決され、兵庫県西宮市でも陳情が採択されています。
特に直近の意見書では、「放射能被曝による健康不安をもつ被災者に対し、健康診断と必要な医療補償をおこなうこと」の項目もうたわれてきています。
それは、2011年度の甲状腺被検者38,114人の検査結果の中間報告で、福島県で子ども3人に甲状腺癌、7人に癌の疑いが濃い甲状腺腫瘍が見つかったと、公表されたからです。
「直ちに健康に影響が出るレベルではない」という政府の主張は、事実で否定されました。これは異常な多発であり、未発表部分や先の2012年度以降の検査結果の公表が進んだことで、更に健康被害が広がっていることが、誰の目にも明らかになっています。
私たち(子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク)は、大阪市による放射能健康診断と医療補償の速やかな実施を求めていくために、次の取り組みを進めていきます。
この要求の内容を具体的に豊富化していき、早期に実現していくためにも、避難されている方々や、内部被曝から命を守る取り組みをされているみなさんのご協力を、心から訴えるものです。
要求の実現に向けた建設的なご意見を、ぜひ、お聞かせください。
そして、実現に向けたさまざまな取り組みへのご参加・ご協力を、よろしくお願いいたします。
2013年7月24日
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(http://kodomoosaka.jimdo.com/)
〒537-0025 大阪市東成区中道3-11-15-1F コミニティハウス・ポポロ
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
連絡先:080-5351-4235
7月19日(金)に大阪市へ申し入れた要求への回答協議の場にも、ぜひ、ご参加ください!
【「放射能健康診断と、医療補償の実施を求める申し入れ」要求項目】
(1)自治体施策として、保健所が行っている各種がん検診にプラスして、希望するすべての市民に放射能無料検診を実施すること。
(2)「大阪市に避難してきて良かった」と安心を与えられるように、次の施策を実施していくこと。
・放射能無料検診と医療保障。保健所が行っている各種健診の適用
・住宅の提供。災害救助法による延長、それを越える支援策(自主避難者)
・雇用支援。情報提供にとどめず雇用につながる支援
・保育所、幼稚園入所と保育料等の免除。給食費等の免除
・食の安全、検査体制の拡充
・保養プロジェクトへの補助金支出
・避難者総合窓口の開設
☆7/14(日)は、「希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を、大阪で求めていく集い」にご参加を!
希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を、大阪で求めていく集い
7月14日(日)12:00~14:00
@共同スペースひまわり
(JR大阪環状線・東西線・京阪・地下鉄
「京橋」駅から東へ徒歩8分)
福島県で子ども3人に甲状腺ガン、7人にガンの疑いが濃い甲状腺腫瘍が見つかったと公表されました。2011年度の甲状腺被検者38,114人の検査結果の中間報告でした。
「直ちに健康に影響が出るレベルではない」という政府の主張は、事実で否定されました。これは異常な多発であり、未発表部分や先の2012年度以降の検査結果の公表が進んだことで、更に健康被害が広がっていることが、誰の目にも明らかになりました。
私たちは「どこでも誰でも放射能健診」を求める署名運動を大阪で広げるとともに、大阪市に対して、住民や避難者の命を守るための緊急要求を実現させていく取り組みを進めていきます。
みなさんからの意見を集め、7/19に大阪市に対して要求を突きつけていこうと考えています。
みなさん!ぜひ、7/14の標記集いにご参加ください。
・すべての自治体には、住民の命を守る責任があります。
・要求実現に向け、健康診断署名を集めていきましょう!”
主催:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(子ども大阪ネット)
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
連絡先:080-5351-4235
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去る4月17日に提出した、「福島県での甲状腺ガン多発の事態に関する緊急要求」。
内閣総理大臣
復興大臣
環境大臣
【福島県での甲状腺ガン多発の事態に関する緊急要求】
2013年4月17日
(提出団体/者)
「福島県民健康管理調査」にて実施された子どもの甲状腺検査で、2011年度の受検者38,114人中の少なくとも3人に甲状腺がん、7人にその強い疑いがあることが公表された。通常100万人に1人とされる小児甲状腺がんでは、異常に高い発生率である。しかも、チェルノブイリ事故による1、2年目の小児甲状腺がんの発見のペースを上回っている。また、WHO(世界保健機構)は、福島原発事故によるがん発症の生涯リスクが基準値をうわまわると警告している。
今回の調査結果による甲状腺がん発見は氷山の一角に過ぎない。今後、がん発症の爆発的増加の恐れが現実のもとなっている。
福島県は、一部学者等の言説をもとにして、これらの症例について放射能との因果関係を否定し、有効な対策をしていない。検診結果を受診者に開示することもなく、調査結果のデータ公開を拒み続けている。また国も同様の立場で、比較対照群調査はするが甲状腺がん多発への対処方針は全くなく、緊急の対策をおこなっていない。
国と東京電力は、福島原発放射能事故による健康被害の存在を認めない。これが異常事態への対処を遅らせる原因である。
明らかな甲状腺がん多発の事態に対して、福島県はもとより、同様の放射線被害を受けつづけている全国の人々に対し警鐘を鳴らし、健康と命を守る施策をおこなうことは、国の緊急の責務である。
以下、緊急要求を提出する。
① 国は、全国どこでも誰にでも、希望者全員に甲状腺調査を含む放射能健康診断の態勢を急ぐこと。まずは年間1ミリSvないしそれに匹敵する線量の地域の住民と避難者の甲状腺調査を直ちに実施すること。
そのために都道府県に任せず、国が資金を提供し、地方自治体や大学に協力を求めること。
② 国は、福島県に「県民健康管理調査」の検査データを受診者に開示させるとともに、「甲状腺検査」と「基本調査」のデータを、全国の医師らが検討できるよう直ちに公開させること。
プライバシーを保護しつつ、市町村別の甲状腺検査結果、および甲状腺検査を実施した県民の、甲状腺検査結果と被曝量を個人レベルで対比できるデータを公開させること。
③ 福島県の「県民健康管理調査」を、県民の要求に基づき放射能健診にふさわしい内容に変更すること。
④ 国は、年齢を限定せず、福島県民以外の被災者をも対象に、直ちに医療費の無償化と保養の制度を作ること。まずは放射能健診実施地域の住民とそこからの移住者の医療費無償化と保養制度を直ちに作ること。
⑤ 国は、健診情報の開示によって受診者が避難、移住の判断を自ら行うことを保証するとともに、希望する住民が一時避難、移住を選択できるよう、その費用、住居と雇用を含めて補償する制度を作ること。
☆関原懇(=関電)の教育介入反対!7.12大阪市教委「協議」にご参加を!
放射能汚染の健康被害を隠すための「放射線教育サポートシステム」
福島県の子どもたちを対象とした2011年度2012年度の甲状腺検査結果が6月5日に発表されました。約17万人の1次検査受診者のうち、2次検査対象者1140人、5月27日までに2次検査を終了した者543人、そのうち細胞診実施者227人、悪性または悪性の疑いと診断された人(手術を行う者)28人、手術実施が13人で12人が甲状腺がん(1人は良性)だったということです。100万人に1人ないし2人と言われていた小児甲状腺がんが放射能汚染のために多発していることがすでに明らかになってきています。チェルノブイリ原発事故では、被災者の慢性疾患が8割にもなり、低線量の汚染地域でも健康被害が広がっていることが報告されています。このような中で、関電の世論工作組織である関西原子力懇談会が近畿2府4県と福井県の中学校理科教員を対象に実施している「放射線教育サポートシステム」では、チェルノブイリ原発事故にも、福島第1原発事故にも一切ふれることなく、「正しく怖がる必要」をスローガンに、「放射能は怖くないし、便利なもの」「100mSv以下の低線量被曝では健康にほとんど影響がない」「こわがりすぎる方が問題」としています。私的利益のための宣伝を教育に持ち込む教育介入を許してはいけません。
7.12大阪市教委との「協議」にご参加を!教育介入反対の声をぶつけよう!
私たちは、7月12日(金)午後3時~5時、大阪市役所地下1階会議室で、大阪市教委との「協議」を持ちます。(集合:午後2時45分大阪市役所1階市民ロビー)大阪市教委は、関西原子力懇談会の実態や「放射線教育サポートシステム」のお金の出所に関わらず、「放射線教育サポートシステム」は有用なので受け入れるという姿勢です。「協議」に参加し、「放射能の健康被害を否定する、被ばく強要の教育は許せない」「原子力ムラの手先になるな」の声をぶつけてください。
関西原子力懇談会が近畿大学原子力研究所とともに行う夏休みの宿泊研修会「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~」(関原懇の手先となる教員の育成を目的とした研修会)への参加を出張と認めないことも要求したいと思います。私たちは、この間、大阪市の3分の1以上の中学校に関原懇・近大研修会反対の要請書を届けています。7.12大阪市教委「協議」にぜひご参加ください。
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
連絡先:松田090-1138-5776 matsuda-f@r8.nion.ne.jp
☆関電の教育介入拒否を迫る大阪市教委との「協議」が7月12日(金)15時からと決定!ご参加ください!
6月11日の要請行動を受けて、「放射線教育サポートシステム」=関西電力の教育介入事業拒否を大阪市教育委員会に迫る「協議」の場が、以下の日時、場所で開催されることになりました。
日時:7月12日(金)15:00~17:00
場所:大阪市役所地下1階第1会議室
集合:14:45大阪市役所1階市民ロビー
「放射線教育サポートシステム」に関する5月2日付の私たちの「要請と質問」及び5月31日付の大阪市教委回答が大阪市教委のホームページに載っています。
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000222429.html
この回答に関わる「協議」です。要請書と回答の墨塗り部分は、関西原子力懇談会(関原懇)と関西電力(関電)です。
大阪市教回答は、私たちの指摘(「放射線教育サポートシステム」が関原懇のお金で運営されている事業であり、関電が構成企業の中心である関原懇は役員・収支等を公開していない闇の組織である)にかかわる質問については、「本市市政外のため回答できません」とする一方、「『放射線教育サポートシステム』は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステムであると考えております」としています。事実をもとに徹底追及し、「放射線教育サポートシステム」が関原懇=関電のお金で運営されている教育介入事業であることを認めさせ、この介入を拒否する立場を迫りましょう。
「放射線教育サポートシステム」は関原懇=関電が2府4県と福井県の中学校(特に理科教員)を対象に行っている教育介入事業であり、一つの教育委員会からでも批判的見解が取れれば、介入反対の運動を大きく広げることができます。7月12日の「協議」=交渉にご参加ください。
☆6.11大阪市教委への要請行動報告
「放射線教育サポートシステム」に関わる6月11日の市教委要請行動の報告をします。(以下)
13:30~13:50 大阪市役所3階教育委員会総務課カウンター付近
対応者:総務課広聴担当
参加者:12人
・関西原子力懇談会=関西電力の中学校理科教育への介入に反対することを要求する大阪市教委交渉の設定を求めて要請行動を行いました。
・子どもたちを放射能から守る大阪ネットワークは、5月2日付で関原懇(=関電)が実施している教育介入事業=「放射線教育サポートシステム」を大阪市教委が受け入れないことを求める要請書を提出しましたが、5月31日付の市教委回答は、「『放射線教育サポートシステム』は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」というものでした。大阪市教委ホームページの「団体等との交渉状況」「各種団体との協議等」で要請書・回答を見ることができます。今回の要請行動では、この回答に対する「協議」の場を要求し、その場で、「放射線教育サポートシステム」のお金の出所や内容について、「活用できる1つのシステム」と回答した根拠を明らかにするよう求める要請書を提出しました。
・「協議」の場を6月末から7月初めの金曜日の午後で調整することを求め、広聴担当者と確認しました。この「放射線教育サポートシステム」は、近畿2府4県と福井県の中学校を対象に関原懇=関電が行っている教育介入事業です。設定される「協議」の場に多くのみなさんが参加くださるよう希望します。
☆5.31回答に関する協議の要請(6.11提出)
以下、6.11要請行動(13:30~14:00)で大阪市教育委員会に提出する要請書です。ご参加ください。(集合13:15大阪市役所前)
2013年6月11日
大阪市教育委員会
教育委員長 長谷川 惠一 様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
〒537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F
FAX:(06)6976-9818
(本件の担当:親家、望月)
5月2日付「要請と質問」への5月31日付回答に関する「協議」の要請
5月2日付で提出した、「放射線教育サポートシステム」への再見解を求める私たちの「要請と質問」に対する5月31日付の回答を受け取りました。回答の内容には多くの疑問があり、説明を求めたいと思っています。「協議」の設定をお願いします。説明を求めたい内容について以下に記しますので、「協議」の場での誠実な説明を求めます。
初めに、回答についての私たちの受け止めについて書いておきます。
2012年11月5日の要請に対する12月6日付の大阪市教育委員会の回答は「『放射線教育サポートシステム』は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」というものでしたが、その回答の前提として、「『放射線教育サポートシステム』は、関西地域の原子力関係の学会、大学、団体の有志が連携した『放射線知識普及連携プロジェクト』が実施しているもの」との市教委の認識があることが示されていました。私たちは5月2日付「質問と要請」において関西原子力懇談会への質問書の提出と回答拒否の事実を示して、「学会、大学、団体の有志が連携した」団体が実施しているという市教委のとらえ方がそもそも間違いであると指摘しました。「放射線教育サポートシステム」は関西電力とその世論工作組織である関西原子力懇談会が、「放射線は怖くなくて便利なもの」と子どもたちに刷り込み、原発推進を受け入れる国民意識をつくり出すという私的利益のために、関西電力のお金によって実施している事業であることを指摘したのです。私たちは、このような指摘を受けたうえで、市教委が、実施団体への疑惑を晴らすことなく「『放射線教育サポートシステム』は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」という見解を維持することは許されないものと考えていました。しかし、市教委の回答は、実施団体についての疑惑については何も答えないまま、「活用できる1つのシステム」という見解をくり返しています。福島第1原発事故の放射能汚染による健康影響が隠そうにも隠しきれない状況になってきている中で、大阪市教育委員会のこの回答は到底納得できないものです。
<説明を求めたい内容>
1.「放射線教育サポートシステム」の実施団体「放射線教育知識普及連携プロジェクト」の事務局が「関西原子力懇談会」であることを示し、「放射線教育サポートシステム」の運営費用の出所ついて聞いた質問、及び「関西原子力懇談会」の構成企業等と「関西原子力懇談会」へ関西電力が出しているお金について聞いた質問への回答は、「本市市政外のため回答できません」でした。この回答の意味を説明してください。「知らないので答えられない」という意味ですか、「知っているが、答えない」という意味ですか。
2.「放射線教育サポートシステム」について再見解を求める要請への回答では、「中学校教育において放射線についての基礎知識や正しい情報を理解させること、原発事故による放射線の影響等について指導することは大切」との認識を示したうえで、「中学校教員を対象に、教職員向けセミナーの実施やガイドブックなど教育ツールの提供等、放射線の授業を行うにあたって支援を行う事業である『放射線教育サポートシステム』は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」という前回回答内容の維持を表明しています。この回答に関わって以下の内容について説明してください。
① この回答の意味は、実施団体がどんな団体で、その事業のお金がどこから出ていようとも、「放射線教育サポートシステム」の内容が有用なものであるので、「活用できる1つのシステム」だということですか。
② 「放射線教育サポートシステム」において中学校教員に提供されている教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」や放射線教育の指導案・ワークシートなどは入手されていますか。
③ ②の内容に代表される「放射線教育サポートシステム」によって提供される情報を、「正しい情報」と考えているということですか。②の内容では、福島第一原発事故の放射能汚染の現実にはまったくふれておらず、健康被害が心配される根拠の一つとなっているチェルノブイリ原発事故による健康被害の現実にもふれていません。このことについての見解を明らかにしてください。
④ 「原子力発電を推進するために『放射能は怖くない』と考える人がふえることに企業利益を見出す関西電力を重要な構成団体とする関西原子力懇談会が学校の理科教育(放射線教育)に直接かかわることは許されない」という私たちの指摘に対する見解が示されていません。見解を明らかにしてください。
以上
☆放射線教育サポートシステムへの大阪市教委見解
「放射線教育サポートシステム」について再見解を求める「要請と質問」について、大阪市教育委員会から5月31日付で、回答がありました。以下。
平成25年5月31日
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク 様
大阪市教育委員会教育長
担当:総務課 斉藤 電話:6208-9071
「放射線教育サポートシステム」に関わる要請と質問(回答)
平素は何かと大阪市政にご協力を賜り誠にありがとうございます。
さて、平成25年5月2日付でいただきました要請書につきまして、別紙の通り回答いたします。
今後とも本市教育行政にご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い
申し上げます。
(質問に対する回答)
(項目)
・ 「放射線教育サポートシステム」の実施団体は「放射線知識普及連携プロジェクト」となっていますが、関西原子力懇談会がその事務局です。関西原子力懇談会のホームページでは、その事業(「放射線教育サポートシステム」)の主体として、「教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」と表明しています。この「放射線教育サポートシステム」の運営費用はどこから出ているのですか。
・ 学校教育にかかわる団体の構成・運営は当然公開されていなければなりません。関西原子力懇談会の構成企業等はホームページで公開されていませんが、明らかにしてください。また、その収支、特に関西電力が関西原子力懇談会に対して出しているお金の額についても明らかにしてください。
(回答)
本市市政外のため回答できません。
(担当)
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:(06)6208-8174
(要請に対する回答)
(項目)
・ 「放射線教育サポートシステム」についての再見解を明らかにしてください。
・ 原子力発電を推進するために「放射能は怖くない」と考える人がふえることに企業利益を見出す関西電力を重要な構成団体とする関西原子力懇談会が学校の理科教育(放射線教育)に直接かかわることは許されないという立場で、関西原子力懇談会に対して「放射線教育サポートシステム」を中止するよう要請してください。
(回答)
昨年度回答させていただきましたように、教育委員会としましては、中学校教育において放射線についての基礎知識や正しい情報を理解させること、原発事故による放射線の影響等について指導することは大切であると考えております。中学校教員を対象に、教職員向けセミナーの実施やガイドブックなど教育ツールの提供等、放射線の授業を行うにあたって支援を行う事業で
ある「放射線教育サポートシステム」は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステムであると考えております。
(担当)
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:(06)6208-8174
☆6.11ワンデイアクション 関電の教育介入反対!大阪市教委要請行動
6月11日(火)反原発ワンデイアクションで、「放射線教育サポートシステム」反対の大阪市教委要請を行います。
大阪市教委は、私たちの「放射線教育サポートシステム」反対の要請に対して、2012年12月6日付で、「放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」で問題ないという回答を行いました。私たちは、5月2日付で、「放射線教育サポートシステム」を実施している関西原子力懇談会の実態を示し、再度、「放射線教育サポートシステム」に対する見解を求める要請書を市教委に対して提出しています。6月11日の反原発ワンデイアクションでは、「早く回答せよ」「『放射線教育サポートシステム』に抗議し、中止を要請せよ」と迫る追加要請書の提出行動をします。ご参加ください。
関電の教育介入事業「放射線教育サポートシステム」反対!大阪市教委要請行動
6月11日(火)13:15 集合(大阪市役所前ワンデイアクション宣伝拠点)
13:30~14:00 要請行動
(問い合わせ・連絡先)松田 matsuda-f@r8.dion.ne.jp
090-1138-5776
☆近大原子力研究所へ質問書を送りました
5月18日に行った「大阪科学技術館見学ツアー&学校の放射線教育を考えるつどい」で話し合って、近畿大学原子力研究所に夏休み講習会に関わって質問書を出すことを決め、5月28日付で郵送しました。回答を求め、原発再稼働、原発輸出、福島への帰還促進とそのための健康不安の払しょくをめざす日本原子力産業協会や関西原子力懇談会のお金で実施される講習会の意味を世論に問いたいと思います。(以下)
2013年5月28日
近畿大学原子力研究所
所長 伊藤 哲夫 様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
〒537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F
FAX:(06)6976-9818
(本件の担当:片岩、松田)
夏休みの教職員対象宿泊研修会に関わる質問
私たちは、福島第1原発事故による放射能汚染の現実の中で、子どもたちを被曝と健康被害から守るための活動をしている市民団体です。教育に対しては、原子力発電と放射能汚染について、「命を守る」立場からの教育を求めてきました。関西原子力懇談会を事務局とする「放射線知識普及連携プロジェクト」が実施する「放射線教育サポートシステム」に対しては、「関西電力のお金で関電の私的利益のために実施されている事業である」との認識に立って、関西原子力懇談会や大阪市教育委員会に対して「要請と質問」を提出し、実態を明らかにすること、事業を中止することを求めています。(資料添付)
貴近畿大学原子力研究所が夏休みに実施を予定している教職員対象の2種類の宿泊研修会(A.中学校教職員対象「授業に活かせる放射線教育研修会」、B.小・中学・高等学校および高等専門学校教員対象「原子炉を用いたエネルギー・放射線体験講習」)は、どちらも原発推進企業・団体のお金で実施される事業であり、放射能汚染による健康被害を隠し、子どもたち・一般国民に被曝を押しつける教育を奨励するものになるのではないかと危惧しています。以下、質問いたしますので、お答えいただきますようお願いします。
<質問事項>
1.中学校教職員対象一泊二日の「授業に活かせる放射線教育研修会」【7月29日(月)~30日(火)、8月2日(金)~3日(土)、8月5日(月)~6日(火)の3回、1回の定員20人】は、近畿大学原子力研究所と関西原子力懇談会の主催ですが、要項によると「参加費4000円、交通費実費補助(関西2府4県、福井県から参加の場合)、宿泊費無料」となっています。私たちは、この事業のために必要なお金は、関西原子力懇談会から出ていると認識していますが、それで間違いありませんか。
2.小・中学・高等学校および高等専門学校教員対象一泊二日の「原子炉を用いたエネルギー・放射線体験講習」【7月23日~24日、7月31日~8月1日の2回、1回の定員20人】については、近畿大学原子力研究所名の募集案内リーフレットでは、「受講料無料、交通費は当講習会基準にもとづいて補助、宿泊費・食費無料」となっています。私たちは、この事業は日本原子力産業協会の委託事業であり、この事業のために必要なお金は日本原子力産業協会から出ていると認識していますが、それで間違いありませんか。
3.私たちは、日本原子力産業協会や関西原子力懇談会が、構成企業の経済的利益の観点から、原発再稼働、原発輸出と避難者の福島への帰還、そのための「健康不安」の払しょくを重点に活動している団体であると認識していますが、その認識に間違いはありませんか。
4.放射能汚染の現実の中で、被ばくの健康影響が問題となっています。
「放射線教育サポートシステム」の中で配布されている教師用パンフレット、学習指導案、ワークシートなどでは、「放射線はもとから自然界にたくさんあり、そんなに怖がる必要ない」「100mSv以下ではがんの過剰発生はみられない(健康被害は出ない)」「放射線は便利なもの」としています。
しかし、チェルノブイリ原発事故の健康影響についても、原子力産業の影響力のつよい国際機関による報告以外に、2011年4月「キエフ国際科学会議」への「ウクライナ政府報告書」(ウクライナ国立記録センターで管理している2,364,538人の被災者のデータをもとにした報告)と低線量汚染地域「コロステン」の子どもたちの状況を取材したNHKの報告【NHK出版「低線量汚染地域からの報告」(2012年9月25日発行)参照】が出され、チェルノブイリ大惨事の影響を観察し、記録によって証拠づけた研究者の研究成果を、簡潔かつ系統だった形で提示したロシア、ベラルーシ、ウクライナ3国の学者4人による著書【岩波書店「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(2013年4月26日発行)】も出版されています。その中では、低線量の被曝であっても、がん以外におびただしい健康被害が出ていることが報告されています。今年の4月24日仙台高等裁判所の「ふくしま集団疎開裁判」の判決では、「(郡山市で市民が)強線量ではないが低線量の放射線に間断なくさらされているものと認められ…その生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧される」「児童生徒の生命・身体・健康について由々しい事態の進行が懸念される」という判決文が出されています。
このような状況の中でも、「100mSv以下ではがんの過剰発生はみられない(健康被害は出ない)」と主張するには、上記の通り、低線量被曝の健康影響が指摘されていることへの明確な反論が必要です。私たちは、それができないのに、「100mSv以下ではがんの過剰発生はみられない(健康被害は出ない)」という教育を行うことは許されないと思います。この主張についての見解をお聞かせください。
以上
☆5.18原発宣伝見学ツアーと教育介入を考えるつどい
関西電力の世論工作組織といえる関西原子力懇談会は、中学校理科の学習指導要領に「放射線の性質と利用」という項目が入ったことを好機として、「放射線教育サポートシステム」と称して、中学校理科教育に介入しようとしています。お金の出所を隠し、「科学」を装いながら、放射能・放射線は「怖くない」「とても便利なもの」という印象を子どもたちに刷り込むことで、放射能汚染被害の責任追及を逃れ、原発推進の基盤をつくろうとしています。この夏休みにも、関西2府4県と福井県の中学校教員を対象に、「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~」と題する一泊二日の原子炉実験・研修会を3回(1回20人定員)、近畿大学原子力研究所と共催で行おうとしています。交通費実費支給、宿泊費無料のこの研修会開催費用はかなり多額になるはずです。その資金は誰が出しているのか?何のために?と問えば、この研修会の性格は自ずと明らかになります。
私たち「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」は、関原懇の教育介入に反対して、大阪市教育委員会や関原懇に質問や要請を行ってきました。学校教育に関わろうとする「放射線教育サポートシステム」のお金の出所が闇の中であるのはおかしいと関原懇に質問書を出しましたが、関原懇は回答を拒否しました。そんな闇の組織が教育に関わることは許されません。この運動をどう拡大するか、みんなで話し合いたいと以下の企画をしました。ご参加ください。
5月18日(土)
11:00~12:00 大阪科学技術館見学ツアー(集合:大阪科学技術館1階ロビー 10:50 地下鉄四つ橋線本町下車28番出口を出て北へ徒歩3分)
12:00~13:30 昼食・移動
13:30~15:00 第2回放射線教育を考えるつどい(場所:コミュニテ
ィスペース「ポポロ」 東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F/JR
環状線「玉造」下車北東へ徒歩 5 分 / 地下鉄「玉造」下車徒歩7分 )
呼びかけ:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(HPを見てください)
連絡先:松田090-1138-5776 matsuda-f@r8.dion.ne.jp
☆4/26(金)は、関西電力本店前での星空交流会“放射線被害を受け続けているすべての人の命を守るために、大阪から健康診断署名を集めていきまし
星空交流会
“放射線被害を受け続けているすべての人の命を守るために、大阪から健康診断署名を集めていきましょう!”
4/26(金)19:30~@関西電力本店前(北西側)
福島県で子ども3人に甲状腺ガン、7人にガンの疑いが濃い甲状腺腫瘍が見つかったと公表されました。2011年度の甲状腺被検者38,114人の検査結果の中間報告でした。
「直ちに健康に影響が出るレベルではない」という政府の主張は、事実で否定されました。これは異常な多発であり、未発表部分や2012年度以降の検査結果の公表が進むにつれて、更に健康被害が広がることを、私たちは危惧します。
この事態に対して私たちは「どこでも誰でも放射能健診」を求める署名運動を一層広げるとともに、国、東京電力、地方自治体に緊急に実行させるべき要求案を作り、去る4月17日に、復興庁・環境省/原子力規制委員会に緊急要求書(別掲)を提出してきました。
私たちの大阪から、同趣旨の請願(陳情)を広げ、実現まで繰り返し要求していきましょう。
みなさん、ぜひこの要求書および「どこでも誰でも放射能健康診断を求める署名」に賛同していただき、ともに要求の運動を広げていきましょう。
★平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)★
HP http://www.zenko-peace.com/
〒536−0016 大阪市城東区蒲生1丁目6-21共同スペース ひまわり気付
携帯 090-8536-3170(山川) /携帯アドレス : ymkw4483._.genki@softbank.ne.jp
★子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(子ども大阪ネット)★
HP http://kodomoosaka.jimdo.com/
〒537-0025 大阪市東成区中道3-11-15-1F コミニティハウス・ポポロ
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
中学生のための放射能学習会
放射能汚染と向き合わざるをえない時代
中学生のための放射能学習会
「福島第1原発事故と放射能汚染」に参加しませんか?
福島第1原発事故で、大量の放射性物質がまき散らされました。これはいったいどんな意味を持つのでしょうか?
事故や原発の稼働をめぐって今もいろいろ話題となっていますが、放射能汚染を心配しすぎる方が問題という意見もよく耳にします。放射能汚染は健康にたいした影響がなく、原発再稼働が必要と世論誘導をしたい人たちがいるのです。私たちの社会には、事実を覆い隠そうとする強い力がはたらいています。
福島第1原発事故は、原子力発電所の危険性・問題点を誰の目にも明らかにしました。まき散らされた大量の放射性物質の健康影響は、影響の大きい若い人達にとっては、まさに自分たちの問題です。「中学生のための放射能学習会」を下記の通り企画しました。一緒に考えてみませんか。なお、「中学生」というのは「中学生くらい」という意味でその前後の年代の人をふくんでいます。
参加したいという人は連絡ください。(連絡先:松田090-1138-5776)
中学生のための放射能学習会
日時:3月30日(土)14:00~16:00
場所:共同スペースひまわり(大阪市 城東区蒲生1-6-21 JR大阪環状線・東西線・京阪・地下鉄京橋駅から東へ徒歩8分)
内容:お話「福島第1原子力発電所事故と放射能汚染」
質疑・意見交流
講師:中学校理科教員 松田幹雄
以下、避難者のTさんからの呼びかけです。
食事・遊び・友達・学校・健康・住まい。。。避難にともない、これまでと変わってしまった中学生くらいの年代のこどもたちに、関西で、放射能副読本を使うなと教育委員会交渉をされたり、未来のために奮闘されている現役の理科の先生が、一緒に学ぼうと企画してくださいました。単にお話を聞く会ではなく、同じような思いの中学生同士が出会い交流するきっかけになればとも思っていますので、ぜひご参加ください。
<会はこどものみの参加になります。親同士はできればその時間、別の場所で交流したいと思います>
3.11関西原子力懇談会への要請行動報告
午後1時30分、西区靭公園内の大阪科学技術センター5階にある関西原子力懇談会に初めて18人で要請行動を行いました。「対応できる者がいないので、要請書を受け取るだけ」と言う女性職員に対して、事務所内で要請したいと7人が5階に上がりましたが、「外で受け取るように言われている」とドアを開けませんでした。結局、ドアの前で、「放射線教育サポートシステム」の中止を求めることを中心とする「要請と質問」を読み上げてから渡しました。関西電力の世論工作組織と考えられる関西原子力懇談会は、会員も役員も公表していませんが、市民に対して何も見せようとしない秘密主義は一貫しています。
5階に上がらなかったメンバーは、その間、1・2階の展示を見ていました。原発を美化する展示内容に対してHさんが「質問したい」と管理人に申し出ると、「関原懇の方に連絡して説明に来てもらう」と言ったまま、結局、関原懇のメンバーは説明に来ずじまいでした。Kさんの提案で、展示内容への意見をそれぞれアンケートに書いて帰りました。
今後、「要請と質問」への回答を求めるとともに、その「要請と質問」の内容を広く伝え、関西原子力懇談会への抗議の声をあげようと呼びかけたいと思います。要請行動終了後、 放射線教育にかかわる大阪市教育委員会との協議のとき出てきた市教委指導主事にも要請書を届けました。関西原子力懇談会とのやり取りを返す中で、市教委の姿勢(「放射線教育サポートシステムは、放射線の知識を学び授業に生かすために活用できる1つのシステム」)を変えていきたいと思います。(報告:松田)
☆3月11日 関西原子力懇談会へ要請行動
☆関西原子力懇談会への要請と質問
2013年3月11日
関西原子力懇談会様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
〒537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F
FAX:(06)6976-9818
(本件の担当:松田、片岩)
「放射線教育サポートシステム」に関わる要請と質問
私たちは、福島第一原発事故による放射能汚染の現実の中で、放射能被害から子どもたちを守るために活動している団体です。
私たちは、学校の放射線教育に関わって、大阪市教育委員会に「子どもたちの命を守る教育を求める要請」を行いました。その中で、私たちは以下のような指摘をしています。
(以下は、2012年11月5日付大阪市教育委員会あて要請書より)
9月11日、福島県民健康調査(子どもの甲状腺検査)の結果が公表されました。36万人の対象者のうち8万人を調査した段階で、40%を超える子どもたちにのう胞・結節が見つかり、2次検査の対象者425人のうち、60人の細胞検査を行って38人の結果がわかった段階で、1人が甲状腺がんだったということです。明らかに放射能汚染の影響と考えられる事態に対して、県当局と検討委員会座長山下俊一氏らは、秘密会で、「がん発生と原発事故に因果関係はない」として、本会合の検討委員会でのやり取りを事前に打ち合わせていたことが明らかになっています。このことについて、私たちは、原発事故の放射能汚染による深刻な健康被害が進行しているのに、それを隠ぺいしようとする人たちがいるのだと考えざるをえません。安全宣伝をくり返し、被ばくを強いる行為は犯罪であり、山下俊一氏らは福島原発告訴団から告発されています。
文部科学省の放射線副読本は、子どもたちに「放射線は怖くない」と印象付けることを目的としており、「不十分」にとどまらず、犯罪的なものです。加えて、中学校理科の「放射線の性質と利用」の学習をサポートするとして、「放射線知識普及連携プロジェクト」(事務局:関西原子力懇談会)が「放射線教育サポートシステム」の利用を学校現場に宣伝しています。この事業は、運営も財源も、関西電力のトンネル組織ともいえる関西原子力懇談会に依存しており、関西電力の原発推進路線を支える「放射線は怖くなくて便利なもの」という意識を子どもたちに刷り込むためのものです。
大阪市教育委員会には、文科省「放射線副読本」や「放射線教育サポートシステム」に対する明確な批判見解を表明し、子どもたちが、事故と放射能汚染の現実、被ばくの危険性と防護のために必要な知識を学ぶことができる「命を守る教育」を実施して頂きたいと思います。
(以上)
大阪市教育委員会には、私たちの認識と要求を届けることができましたが、今回、直接に、貴関西原子力懇談会に「要請と質問」を届けます。以下の要請と質問にお答えください。
<要請項目>
1.原子力発電を推進するために「放射能は怖くない」と考える人がふえることに企業利益を見出す関西電力を重要な構成団体とする関西原子力懇談会が学校の理科教育(放射線教育)に直接かかわることは許されないので、直ちに教育介入とみなされるような「放射線教育サポートシステム」を中止してください。
<質問項目>
1.「放射線教育サポートシステム」の実施団体は「放射線知識普及連携プロジェクト」となっていますが、関西原子力懇談会はその事務局となっています。また、関西原子力懇談会のホームページでは、その事業(「放射線教育サポートシステム」)の主体として、「教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」と表明されています。この「放射線教育サポートシステム」の運営費用の出所を明らかにしてください。
2.学校教育にかかわる団体の構成・運営は当然公開されていなければなりません。関西原子力懇談会の構成企業等はホームページで公開されていませんが、明らかにしてください。また、収支についてもオープンにしてください。
3.「放射線教育サポートシステム」で提供される教材やパンフレットの中の放射能汚染のもたらす健康被害に対する認識は全く間違っていると思います。2011年度の福島県民健康管理調査(子どもの甲状腺検査)で調査対象約38000人のうち、がんが3人、疑いのある子が7人いたことが明らかになり、100万人に1~2人しか出ないはずとされていた小児甲状腺がんの増加は隠しようもありません。また、2011年4月にウクライナ政府が「キエフ国際科学会議」に提出した、2364538人の被災者データをもとにした政府報告書では、放射能汚染のために甲状腺がんはもちろん、水晶体異常や慢性疾患が増加(1988年31.5%から2008年78.5%に増加)したことを指摘しています。(NHK出版「低線量汚染地域からの報告」2012年9月25日発行参照)これらの事実についての見解を明らかにしてください。
☆2/1(金)は、関西電力本店前での星空交流会“今、被曝社会を生きていくために…。”へ!
星空交流会“今、被曝社会を生きていくために…。”
2/1(金)19:30~@関電力本店前(北西側)
☆希望するすべての人へ、放射能健康診断と、医療補償の実現を!
☆広域処理による、国民への被ばく強制の問題を裁判で問い、放射能汚染ガレキの本焼却を止めていこう!
今回の関西電力本店前での星空交流会は、“今、被曝社会を生きていくために…。”と題して、内部被曝や放射性がれきの問題を、自分たち自身の問題として受けとめ、乗り越えていくための方策を討議します。健康相談会のメンバーも参加されます。みなさん、ぜひ、ご参加ください♪
★平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)★
HP http://www.zenko-peace.com/
〒536−0016 大阪市城東区蒲生1丁目6-21共同スペース ひまわり気付
携帯 090-8536-3170(山川) /携帯アドレス : ymkw4483._.genki@softbank.ne.jp
★子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(子ども大阪ネット)★
HP http://kodomoosaka.jimdo.com/
〒537-0025 大阪市東成区中道3-11-15-1F コミニティハウス・ポポロ
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
☆2/3(日)は、「「希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を求めます」署名を集め、2/15(金)に東京へ行こう♪の集い」へ!
「希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を求めます」署名を集め、2/15(金)に東京へ行こう♪の集い
2月3日(日) 10:00~12:00
会場:玉造・コミュニティハウスポポロ
(大阪市東成区中道3-11-15 イディアールスパジオ1F)
PHONE & FAX:06-6976-9818
参加費: 300円
プログラム:
①報告:「避難・移住・帰還の権利ネットワーク」の小山さんに参加していただき、2/15(金)の中央ワンデイアクション」に向けた取り組みを報告してもらいます。
②交流
主催:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
ツイッター:@kodomoosaka
2012年6月に国会で成立した「原発被災者支援法」に基づき、 被災者・避難者の権利を実現するためのネットワークです。 避難者、被災者、独身の方、お母さん、お父さん、おじいちゃん、 おばあちゃん、子ども達・・・どなたの参加も大歓迎です。みんなで希望を作りましょう!
→ 避難・移住・帰還の権利ネットワークのブログ : http://hinankenri.blog.fc2.com/
☆原発事故・放射能汚染を考える「寺子屋」をやりませんか?
「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」は、1月8日、放射線教育に関する大阪市教育委員会との「協議」を持ちました。原発事故・放射能汚染の現実を見ず、放射能・放射線の健康への深刻な影響を覆い隠している学校教育の現状に異議申し立てを行う場でした。
この協議の場に、東京から富山に避難されているTさんが参加されました。
そのTさんから子どもたち(中学生くらいを中心とする)の「寺子屋」をやってもらえないかという提案を受けました。
転校したくない子どもを説得し、やっと避難しても、転校先の学校では、原発事故、放射能汚染なんかなかったかのような状況。心配しすぎることが問題という文科省放射線副読本が正しいとされるような状況では、避難してきたことがまったく理解されません。子どもたちは、放射能汚染に対して避難してきたことを話すこともできないまま、学校に居場所もなく、不登校になる子も多いとのことです。そんな子どもたちにとって、自分のことを気を遣わずに話せる場、それが受け止められる場が必要だという提起に、まったくその通りと共感しました。
みなさんの周りの避難者の子どもさんで、このような「寺子屋」を求めている人はいませんか。何人か参加が見込めるようなら、企画を具体化したいと思います。「寺子屋」運営のスタッフも募集したいと思います。
この件について、問い合わせや情報を提供いただける方は、下記まで連絡ください。
【連絡先】松田 matsuda-f@r8.dion.ne.jp
090-1138-5776
☆放射線教育にかかわる大阪市教育委員会との協議報告(1月8日)
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワークは、1月8日に大阪市教育委員会と放射線教育にかかわる協議を持ちました。以下報告します。命を守るための教育実現に向け、さらに声をあげていきましょう。
時間:15:00~17:00
場所:市役所地下1階第1会議室
市教委出席者:大沢(指導部初等教育担当小学校教育グループ)
風間(指導部中学校教育担当中学校教育グループ)
小川(総務部総務課庶務グループ)
参加者:13名
協議の進行
1.回答の明確化
●「命を守る教育実施要望」への見解
大沢→小学校学習指導要領には「放射線教育」は定められていない。「安全教育」の中で「災害安全」があり「原子力災害時の安全」として今後検討していきたい。
風間→中学校学習指導要領では、理科の指導項目に「放射線の性質と利用にもふれる」というのがある。放射線については、「功と罪」の部分をきちっと知るということが当然大切である。そのどちらも教えなくてはならない。その中に「命を守る」教育も含まれている。社会科の分野でも「エネルギー」の部分でもそうした学習をすすめることが必要であると考えている。
学習指導要領は福島原発事故以前につくられたもので、教科書だけを教えるということで十分であるという認識には立っておりません。当然原発事故もあり、その中で放射能の「功と罪」の罪の部分も当然社会的にも大きく取り上げられている部分でございますので、それらを無視するような形での学習内容ではあり得ない。教科書には出てこない部分につきましては、今後中学校でしたら中学校教育研究会の中で、理科部といろんなお話をさせていただき、どういう形で中学校に理科教育を作っていくか議論をしていきたいと考えている。
●放射能・放射線に関わる教育の必要性・目的、「正しい知識・認識」につい
て、「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態について
風間→放射線教育の目的に命を守る教育も当然含まれているものだと考えている。理科の中で放射線の学習を実施する際に、例えば副読本の中にも教科書の内容と重複・関連する部分があるので、教科書の内容リンクさせるように扱っていくことが大切。
「正しい知識・認識」について、何が正しいかについては様々な判断基準があるので、これがすべて正しいというものではない。いろんな情報・知識を提供する中で、子どもたちがそれを基にしながら自ら考え判断し行動することが大切。放射線・原子力の功罪をきちっと押さえることが正しい知識・認識ではないか。
放射線サポートシステムを実施している放射線知識連携プロジェクトの実態について、放射線教育をすすめるにあたって教師の方が一定の知識をもたなければいけない中で、1つの研修機会として提供しているもの。組織については関西地域の原子力関係の学会であるとか大学・団体等が連携して出来た組織であるとの認識に立っている。この団体はいかがなものかとのご指摘はあるが、一定の社会的な信頼を得ている学会あるいは大学・団体が実施しているものと認識している。
大沢→小学校では、放射線教育は無いが、子どもの命を守る安全の教育の中で原子力災害等の原子力の危険性・怖さもふくめ、いろいろな面を知ることが正しい知識・認識にも係る。いろいろな面を知る、原子力の有用な部分を知ると、原子力の危険な部分、目に見えない危険性があることであったり身体への影響・健康被害も含めて正しく知る。それを基に、自ら判断できることが安全教育として必要。
2.協議に向けた資料を渡し、「チェルノブイリと福島の現状」「文科省放射線
副読本の目的と内容」「放射線教育サポートシステムの実態」について追及
風間・大沢→この回答の決済責任は初等・中等それぞれの課長になる。
大沢→私が防災教育と言ったのは、社会や理科の中に無いからしなくてはいいというのではなく、安全教育は逃げ方だけを教えるのではなく、原子力災害時の安全という項目で、放射線がなぜ危険なのかどう危険なのかも学ばないといけない。目に見えないけれど危険であることや健康にこういう被害を及ぼすということを学ばなければいけない。そういう部分を安全教育の中ですることが可能ではないかと言った。今の指導要領に縛られて出来ないということではなく今申し上げた中でやっていける。
・Kbさんから放射線副読本の記述の問題点と、被ばくを少しでも少なくす
るという観点にたった教育の必要性。
大沢→放射線副読本については3割の学校に配布。昨年12月に教育委員会から校長に副読本の取り扱いについて改めて指示を出した。福島第1の事故が起こって大量の放射性物質が放出されたこと、発電所周辺地域では放射線量が一定の基準を超える地域があり今なお避難されていること、一部の食品の出荷が制限されたこと等をしっかり鑑みて、その内容について補足をして児童生徒が放射線や放射性物質について認識を正しく持つことで、正しく行動・判断できるという指示を出したところ。
・この学習指導要領は福島第1原発事故以前に作られた原発安全神話づくり
に加担したものという認識が必要。事故の現実に立って、指導要領の規定
に縛られず、必要な教育を提起する必要性。
・Hさんから福島の健康被害等の現状、Tさんから避難した子どもたち
の置かれている状況を報告。
・Kgさんより、教科毎にどう内容を具体化するか検討する必要性。
→新学習指導要領を大きく超えることはできないのだが、その範囲の中で何ができるか。新学習指導要領は原発事故の前につくられているものだし、教科書もそうなので、そういった部分を現実踏まえてどう教えるかを検討すべきこと。今日こういう形でご意見いただいて、われわれも検討させていただく。
・Kiさんより、放射線知識普及連携プロジェクト、関西原子力懇談会の実
態についての指摘。
3.最後に、市教委当局者の受け止めの表明
大沢→お答えできなかった部分もあって申し訳ない。「事故前と事故後とでは教える内容を変えるべきだ」「原子力のいいところ悪いところをきちっと教えなさい」などおっしゃった部分については、ほんとうにそういう風に認識しているつもりである。危険なところについてしっかり伝えて教育内容を検討していく。
風間→放射能・放射線の影響等につては、みなさんの方が詳しい。恥ずかしながら私は専門家ではありませんので、みなさんの方から様々な現実・思いを受けたまらせていただいた。それらを基にしながら、今後、教育委員会として、教育委員会だけでできるものは多くはないが、どういう形で今日いただいた知識を提供していったらいいのか、またそれに関わってどういったところと意見を交換するのかことも模索しながら、今日いただいたご意見を検討していきたい。
以上
☆1月14日(月・休) 10時~16時 「『本当のフクシマ』写真展」 @ 阿倍野市民学習センター・ギャラリー(阿倍野ベルタ3階)
「『本当のフクシマ』写真展」
日時:1月14日(月・休) 10:00~16:00
会場:阿倍野市民学習センター・ギャラリー(阿倍野ベルタ3階)
(地下鉄谷町線「阿倍野」駅下車すぐ。
「天王寺」駅より徒歩8分。)
参加費:入場無料
主催:「本当のフクシマ」写真展実行委員会
連絡先:090-1594-5978(佐武)
2011年3月11日、福島第一原発事故を契機に、原発即時停止・廃炉の運動が日本全国に広がっていきました。
今も首相官邸前、各地の電力会社前で毎週金曜日、大規模な行動が続いています。
その結果、昨年5月5日に稼動原発はゼロになり、今も大飯の2基が稼動しているに過ぎません。
こうした全国の反原発の運動、そして福島現地の実態を『週刊MDS』が伝えてきました。
掲載された写真を展示します。
大手マスメディアでは報道されない生き生きとした人々の姿が写し出されています。
ぜひ、お気軽に観に寄ってください。
入場無料です。
☆1/11(金) 19時半~21時 星空交流会 @ 関西電力本店前 ~2013年、大飯原発と放射性ガレキの本焼却を、大阪から止めていこう!~
大阪において、大飯原発と放射性ガレキの本焼却を止めていくためには、次の2つの取り組みが重要です。
1/11(金)の星空交流会では、これらも含めて、命を守る大阪市や大阪府の行政や関西電力へと変えていくための、さまざまな取り組みを交流していきましょう♪
① 放射能汚染ガレキ広域処理差し止め裁判
今、2013年2月に大阪市のガレキ本焼却が迫り、一方で全国的に見れば広域処理は、広域処理するガレキ量の見積もりがどんどん下方修正されたり、ゼネコンによる広域処理に関わる契約金(税金)の二重取りの疑惑が指摘されるなど、その失敗が明らかになりつつあります
既に北九州市でも裁判が開始されました。私たちは一層運動を強めるとともに、その一手段として、大阪市・大阪府のガレキ広域処理差し止めを求める訴訟を行います。
裁判提訴までのスケジュール(12/9現在の予定)
1月18日(金) 原告団・第1次募集の締め切り
原告団加入の応募手続きはなるべくお早目に。
1月23日(水) 裁判提訴(大阪地裁)/記者会見
★ 放射能汚染ガレキ広域処理差し止め裁判原告団
→ http://garekisaiban.blog.fc2.com/ ★
② 「希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を求めます」署名
原発被災者支援法に明記される原発事故被災者への医療補償の実施を求める署名は、福島県民か関東・東北の都県の住民かを問わず、また避難者か避難しない住民かを問わず、原発被災者支援法に明記された医療補償の対象にするよう求めるものです。
私たちはこの署名運動で、福島県民と関東・東北の都県の住民とに、また避難者と放射能被災地の住民とに共通な、そして最も基本的で関心が高い要求である医療の補償の実現を目指します。そしてこれが「支援対象地域」を拡張する力になると信じます。
みなさんのご協力をお願いします。また賛同団体を募集しています。
ぜひ賛同していただき、この署名を広げてください。
スケジュール(12/31現在の予定)
第1次集約:12月31日(月)
復興庁への提出:2月15日予定
★ 避難・移住・帰還の権利ネットワーク
→ ttp://hinan.jimdo.com/ ★
★平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)★
HP http://www.zenko-peace.com/
〒536−0016 大阪市城東区蒲生1丁目6-21共同スペース ひまわり気付
携帯 090-8536-3170(山川) /携帯アドレス : ymkw4483._.genki@softbank.ne.jp
★子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(子ども大阪ネット)★
HP http://kodomoosaka.jimdo.com/
〒537-0025 大阪市東成区中道3-11-15-1F コミニティハウス・ポポロ
メールアドレス:kodomoosaka@yahoo.co.jp
●放射能汚染ガレキ広域処理差し止め裁判
●「希望する全ての人への放射能健康診断と、医療補償の実施を求めます」署名
☆1月8日(火) 放射線教育にかかわる大阪市教育委員会との「協議」 「命を守る教育」を求めて、大阪市教育委員会に声を届けましょう!
【拡散希望】
1月8日(火)放射線教育にかかわる大阪市教育委員会との「協議」(15:00~17:00 大阪市役所地下1階第1会議室)にご参加を!
(14:45 大阪市役所1階ロビー集合・打ち合わせ)
多くの方にご参加いただきたいと思います。
呼びかけ:「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」
http://kodomoosaka.jimdo.com/
連絡先:松田 090-1138-5776
matsuda-f@r8.dion.ne.jp
<経過>
●11月5日付で、要請事項3点・質問事項4点を提出。(別紙「要請と質問」)
●12月6日付で、市教委が質問4点に対する回答。(別紙「回答」、「論点整理のための資料」)
●12月11日、「協議」(1月8日に決定)に向けた要請を提出。(別紙「要請」)
・11月5日付要請項目1への明確な回答
・12.6回答内容についての説明
① 放射能・放射線に関わる教育の必要性の認識
② 放射線教育の目的
③ 「正しい知識・認識」とは何か
④ 「放射線サポートシステム」を実施している「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態
<「協議」の進め方>(案)
1.最初に、12.11要請にそった回答を求め、確認する。
2.その上で、以下の論点で、1つずつ確認していく。
① チェルノブイリ・福島の現状をどう考えるか?→その認識に立って放射線教育の目的はどうあるべきか?(「協議」資料1)
追及素材…A.NHK・ETV特集「ウクライナは訴える」(2012.9.23放映)やNHK出版「低線量汚染地域からの報告」、「~涙で、雪だるまが溶けた」など
http://www.at-douga.com/?p=5927
B.福島県民健康管理調査(子どもの甲状腺検査)の状況など
C.食物汚染状況など
② 文科省「放射線副読本」の目的と内容をどう考えるか?→被ばくを受忍させ「放射線副読本」の扱いはどうあるべきか?(「協議」資料2)
追及素材…文科省「放射線副読本」そのものの内容をとりあげて
③ 「放射線サポートシステム」の実態をどこまで理解しているのか?→原子力推進団体が進める事業を内容チェックもせずに教育現場に持ち込ませてもいいか?(「協議」資料3)
追及素材…関西原子力懇談会ホームページ他
<「協議」参加者の呼びかけ・集約と「協議」に向けた打ち合わせ>
・「協議」参加呼びかけについては、できるだけ広く拡散してもらい、参加者を募る。
・上記の「経過」と「協議の進め方」(案)をもとに、追及ポイントについての提案をメール等で送ってもらう。
・直前打ち合わせは、1月8日(火)14:45市役所1階ロビーに集合したとき
●資料1~放射能汚染と健康被害の現実~
2013.1.8「協議」資料1~放射能汚染と健康被害の現実
A.チェルノブイリ原発事故26年目の現実(ウクライナ)
(NHK出版「低線量汚染地域からの報告」(2012年9月25日発行)より)
1.2011年4月「キエフ国際科学会議」への「ウクライナ政府報告書」(チェルノブイリ
事故から25年 未来のための安全)
● ウクライナ国立記録センターで管理している2,364,538人の被災者のデータをもと
にした報告
<被災者の内訳>
① 原発事故の処理作業員(317,157人)
② 原発周辺の立ち入り禁止区域からの避難民(81,442人)
③ 低線量汚染地域の住民(1531545人)
④ 1~3の人々から生まれた第2世代(319,322人)
⑤ 既に死亡した人(115,072人)
<ウクライナにおける汚染地域の区分>
・立入禁止区域…強制避難地域、強制移住地域(年間被ばく線量5mSv以上)
・低線量汚染地域…移住勧告地域(年間被ばく線量1~5mSv)
放射線管理地域(年間被ばく線量0.5~1mSv)
● 「ウクライナ政府報告書」の内容
被災地の住民の健康は、事故直後に比べて著しく悪化している。
・甲状腺がんの増加
(1986年に18才以下だった人の甲状腺がん患者数の推移)
(下のグラフは、事故当時14才以下だった子どもの年代別甲状腺がん発病数)
・チェルノブイリ原発事故で被災した成人の甲状腺の病気…40~52%
・被災者の慢性疾患の増加(1988年31.5%→2008年78.5%)
・被ばく量と水晶体異常(ウクライナ放射線医学研究センター・フェデリコ氏)
→オブルチ地区(年間被曝量1~5mSv、25年間25mSv):1000人あたり234.27人
ボルカヤ地区(年間被曝量0.5~1mSv、25年間15mSv):1000人あたり149.29人
・低線量被ばくによる白内障(国際的には250mSvが「しきい値」とされている)
● 因果関係を認めてこなかった国際機関(UNSCEARなど)
・チェルノブイリ原発事故によって引き起こされたのは、「小児甲状腺がん」除染作業者の「白血病」「白内障」のみという見解。
・「ウクライナ政府報告書」を認めない論理は、「疫学的手法で証明できないことは、科学的でなく、事実として認めることはできない」というもの。(「疫学的手法」とは、ある集団の被曝線量と健康被害との間に統計的に有意な相関があって、初めて証明されたとする方法のこと)個人個人の被曝線量のデータが入手できないことによって、どれだけ健康悪化があっても、被曝によるものとはいえないとする。
・ウクライナの医師達は、放射線量は異なるが、その他の点では同様な集団同士の違いを調べることで、対抗している。
2.ウクライナの被災者をめぐる状況
● 経過
1986年4月26日 チェルノブイリ原発事故
住んでは行けない土地の基準の変更…年間100mSv(1986年)→年間30mSv→年間25mSv→年間5mSv(1991年)
当時のソ連政府は汚染の実態を国民に知らせず、秘密裏に被曝限度量を「生涯350mSv」に。
1991年 チェルノブイリ法(ウクライナ「チェルノブイリ事故による放射能汚染地域の法的扱い」「チェルノブイリ原発被災者の定義と社会的保護」)→追加放射線量年間1mSvを越える地域に住民の移住の権利明記。被曝や汚染の程度により、被災者は4つのカテゴリーに分けられ、それに応じて様々な特典や補償。(住居提供、食品購入手当、年金増額、医療補償、教育補助、サナトリウム無償療養など)
1991年12月 ソ連邦崩壊・ウクライナ独立。経済的問題で、補償完全実施は困難に。
1992年 セシウム137汚染状況の詳細地図作成→土壌、空中、水のサンプル調査以降、除染活動(コロステンの場合:1992年から1997年まで4000戸の民家に1億ドル=120億円、1戸あたり300万円)。予算がつきて除染活動中断。
● 汚染検査等
コロステン(年間1~5mSvの移住勧告地域と年間0.5~1mSvの放射線管理地域の混在する地域)の場合:毎時0.25mSv以上は報告が必要。それ以下は問題ない数値とされている。食物汚染検査…(例)自由市場の放射線量検査→商品の一部を細かくして容器に詰めて測定機にかけ、2分ほどで線量表示。(基準:50Bq/kg)キノコ、ブルーベリー、コケモモ、イチゴ、鹿肉など森でとれるものは販売禁止。
3.コロステンの子どもたちの状況
● コロステンの位置
チェルノブイリ原発から140km
人口65,000人
製陶、コンクリート工業など
年間0.5~5mSvの被曝量
● ある学校の状況
・8年生(13~14才クラス)18人に体調を質問→「時々意識を失う」
「慢性気管支炎」「胃潰瘍」「めまいとジストニア」「甲状腺肥大」「生まれつき心臓が悪い」など。
健康だと答えた生徒は4人だけ。
・学校の保健師の話…485人の生徒のうち、48.2%に甲状腺などの内分泌疾患。
肉体的発育障害22.1%。目の障害19.2%、呼吸器障害6.7%、消化器疾患、神経疾患5%。正規の体育の授業を受けられる生徒は全交で14人だけ。他の子は特別な軽いメニュー。救急車を1日3回呼ぶこともある。こんな状況に気づいたのは、2000年か2001年。甲状腺肥大、心臓疾患、免疫低下、消化器系疾患などが多い。
● 学校生活
・リハビリプログラム(生徒は1年に1度サナトリウムで療養)。非汚染地域から運ばれた食材を使った無料給食。45分授業を低学年は10分、高学年は5分短縮(子どもたちが疲れやすいため)。9年生と11年生以外試験廃止(試験勉強をすると、生徒が無理をして倒れることがあるから)。低学年には宿題も出さない。
4.福島の「いま」~年間20mSvをめぐって~
● 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(2011年11月~12月)
長崎大柴田義貞教授→国際機関が認めている以外の健康悪化を科学的に証明することはできない。
獨協医科大木村真三教授→ウクライナでは5mSv以下の地域でも避難の権利が与えられている。被災地では慢性疾患が起きている(データをあげながら)。
長崎大長瀧重信教授→「客観的に」「何が」おこったのか?→「科学的にチェルノブイリでどんなことが起こったのかという国際的な合意のまとめが柴田先生のおっしゃったレベル」
<ワーキンググループのまとめ>
「これら(チェルノブイリ原発事故)の周辺住民について、他の様々な疾患の増加を指摘する医師等の観察がある。しかし、UNSCEARやWHO、IAEA等国際機関における合意として、こどもを含め一般住民では、白血病等他の疾患の増加は科学的に確認されていない。」「現在の避難指示の基準である20mSvの被ばくによる健康リスクは、他の発がん要因によるリスクと比べても十分に低い水準である。」
B.福島県民健康管理調査(子どもの甲状腺の異常)
「県民健康管理調査」の実施状況(参考)
(平成24 年12 月27 日 健康管理調査室)
1 基本調査
(1) 「基本調査」の回答状況(平成24 年12 月5 日現在)
全県;対象者 2,056,994 人、回答数475,028 人、回答率 23.1%
内、先行調査地区(川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村)
対象者29,044 人 回答数 16,333 人、回答率 56.2%
相双地域(浪江町、飯舘村を含む)対象者196,205 人;回答率42.8%
会津・南会津地域 対象者298,527 人;回答率 14.8%
(2) 線量推計結果等の状況(平成24 年12 月5 日現在)(略)
2 甲状腺検査
(1) 一次検査実施状況 受診者数累計130,368 人(平成24 年11 月30 日現在)
対象者数156,187 人、受診率83.5%
① 平成23年度実施分(避難区域等の対象者:47,766 人)
受診者数 38,114 人、受診率79.8%
② 平成24年度実施分 受診者総数92,254 人
内、県内92,028 人、県外226 人
(2) 検査結果
検査結果が確定した者(9/28 検査分まで);計95,954 人
○ A判定(次回検査まで「追加検査」を必要としない):95,450 人(99.5%)内、A1 判定57,627 人(60.1%)、A2 判定37,826 人(39.4%)
○ B判定(結節(5.1mm以上)やのう胞(20.1mm以上)が認められ、念のため二次検査を行う):500 人(0.5%)
○ C判定(直ちに二次検査を要する):1 人(0.001%)
(3) 二次検査実施状況(11/5 現在)
二次検査では、詳細な超音波検査、血液検査、尿検査を実施。詳細な超音波検査の結果、良性か悪性かを判断する必要がある者について穿刺吸引細胞診を行う。
検査結果が確定した者(9/28 検査分まで)の内、B判定500 人、C判定1 人を対象とし、11 月5 日現在、109 人について検査に着手し、83 人は検査終了。
検査終了した者の内、通常の診療に移行した者60 人(内、細胞診検査実施者36人)。内、1 人が悪性と診断され適正な医療に移行。
C.食物・生物の汚染(アイナメ、ミミズなど)
☆アイナメの基準超 1匹は380倍(2012年8月22日)
URL http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120821/k10014438841000.html
福島県の沿岸で東京電力が行った魚介類の調査で、アイナメから食品の基準の380倍と、これまでの調査で最大となる放射性セシウムが検出されました。
東京電力は、ことし3月から福島第一原子力発電所から20キロ圏内の海域で魚介類への放射性物質の影響を調べています。
先月18日と23日、それに今月1日に行った調査では、合わせて5つのポイントで20種類の魚介類を採取し、放射性セシウムの濃度を測定しました。
その結果、今月1日に南相馬市原町区の太田川の沖合1キロで採取したアイナメ2匹分の検体から食品の基準の258倍の1キログラム当たり2万5800ベクレルが検出されました。
高い値が出たことから、1匹ずつ詳しく調べたところ、1匹からは基準の380倍の3万8000ベクレル、もう一方から基準の93倍の9300ベクレルが検出されました。
東京電力が同じ海域で行った調査で検出された放射性セシウムの値は、これまで国の基準の18.8倍が最大でした。
今回の調査では、これ以外にもクロソイやコモンカスベなど9種類の魚介類で1キログラム当たり最大で490ベクレルなど、国の基準を上回る放射性セシウムが検出されました。
福島県沖では、原発事故のあと漁が自粛されていましたが、ことし6月から原発から北東へ50キロ以上離れた相馬市の沖で、放射性物質がほとんど検出されていない「ミズダコ」と「ヤナギダコ」、それにツブ貝の一種の「シライトマキバイ」に限り、試験的な漁が行われていて、アイナメなど今回、放射性物質が検出された魚介類は漁が行われていません。
【コラム】東京新聞コラム2012年2月8日
進化論で知られるチャールズ・ダーウィンに「世界の歴史に重要な役割を果たしてきた」と言わしめた地味な生き物をご存じだろうか?▼答えはミミズ。絶え間なく土の中をかき混ぜて、ふんをすることで土壌の通気を良くし、植物の成長を可能にする働き者である(ジェリー・ミニッチ著『ミミズの博物誌』)▼頼まなくても土の中でせっせと土壌改良をしてくれるミミズも、放射能による汚染とは無縁ではなかった。福島第一原発から約二十キロ離れた福島県川内村の警戒区域内に生息するミミズから、一キロ当たりで約二万ベクレルという相当高い放射性セシウムが検出されたという▼森林総合研究所(茨城県)の研究員が昨年八、九月に福島県内三町村の国有林で採取した結果、先日、「帰村宣言」をしたばかりの川内村で最も高い数値が出た。空中の放射線量が高い地点ほど、ミミズの放射性セシウムの数値は高かった▼事故で放出された目に見えない放射性物質は、風に乗って漂い、山林の木の葉に付着した。やがて落ち葉になって分解された有機物をミミズがエサとする土と一緒に体内に取り込んだ▼たかだかミミズ、と言うなかれ。鳥などの野生動物のエサになり、食物連鎖という形で他の生物に放射性物質が蓄積される可能性を研究者も指摘している。美しい山林はどこまで汚されたのか。ミミズも教えてくれている。
●資料2~文科省放射線副読本の内容・目的~
2013.1.8「協議」資料2~文科省放射線副読本の内容・目的~
文部科学省放射線等に関わる副読本
「知ることから始めよう放射線のいろいろ」中学校教師用解説書より抜粋
学習項目と学習のポイント・指導上の留意点
◆不思議な放射線の世界
学習のポイント
◎植物などから出る放射線が身の回りに存在することを学ぶ。
◎色々な分野で放射線が利用されていることを学ぶ。
指導上の留意点
◎植物などから出る放射線が身の回りに存在することを理解できるようにする。
◎色々な分野で放射線が利用されていることを理解できるようにする。
◆太古の昔から自然界に存在する放射線
学習のポイント
◎放射線は、宇宙や地球が誕生した時から存在し、地球上にも放射性物質が岩石などに含まれていることを学ぶ。
◎自然放射線の量は、地域や場所によって違いがあることを学ぶ。
◎放射性物質は、空気や食べ物などにも含まれていることを学ぶ。
指導上の留意点
◎地球が誕生した46億年ほど前から宇宙線が地球に降り注いでいることを理解できるようにする。
◎放射性物質は、地球が誕生した時から存在し、大地にはウラン、トリウム、空気にはラドン、食べ物にはカリウムなどが含まれていることを理解できるようにする。
◆放射線とは
学習のポイント
◎放射線には、原子核から放出されるものがあることを学ぶ。
◎放射線は、「粒子線」と「電磁波」に分けられることを学ぶ。
◎放射線を放出する原子の種類を学ぶ。
指導上の留意点
◎放射線には、粒子線(α線やβ線)と電磁波(γ線)があり、どちらも原子核から放出されることを理解できるようにする。
◎放射性物質の種類や特徴を理解できるようにする。
◆放射線の基礎知識
学習のポイント
◎「放射性物質」、「放射能」、「放射線」について学ぶ。
◎放射線には、物質を透過する性質があるが、放射線の種類によって遮へいの方法に違いがあることを学ぶ。
◎放射線には、三つの単位があることを学ぶ。
◎放射性物質は、時間がたつにつれて減り、その減り方は放射性物質の種類によって違うことを学ぶ。
指導上の留意点
◎「放射性物質」、「放射能」、「放射線」の違いを理解できるようにする。
◎放射線の透過力は、種類によって違い、材料や物質を選べば放射線を遮ることができることを理解できるようにする。
◎「ベクレル」、「シーベルト」、「グレイ」の違いを理解できるようにする。
◎放射性物質は、時間がたつにつれて減り、その減り方は放射性物質の種類によって違うことを理解できるようにする。
◆色々な放射線測定器
学習のポイント
◎放射線の測定器には色々な種類があり、目に見えない放射線も、その量を測ることができることを学ぶ。
◎「はかるくん」や「霧箱」を用いて、身の回りに放射線があることを学ぶ。
指導上の留意点
◎放射線測定器は、目的に合わせて使用することを理解できるようにする。
◎「はかるくん」や「霧箱」の実験を通して、身近な放射線や放射能の存在を理解できるようにする。
◎多くの科学者が研究を積み重ね放射線の種類や性質などが解明され、測定器や利用に応用されていることを理解できるようにする。
◆コラム 放射線・放射能の歴史
◆放射線による影響1
学習のポイント
◎人体には、損傷したDNAを修復する機能が備わっていることを学ぶ。
◎外部被ばくと内部被ばくの違いを学ぶとともに、色々な食べ物の中に放射性物質が含まれていることを学ぶ。
◎放射線から身を守る方法について学ぶ。
指導上の留意点
◎人体には、DNAの修復機能があるが、色々な要因でDNAが損傷し、がんなどを引き起こす場合があることを理解できるようにする。
◎外部被ばくと内部被ばくの違いを理解できるようにする。
◎放射線から身を守る方法について理解できるようにする。
◆放射線による影響2
学習のポイント
◎がんなどの病気は、色々な生活習慣が原因で起こる可能性があることを学ぶ。
◎身の回りの放射線による被ばくの例や放射線によってがんになるリスクなどのデータを基に、放射線を受ける量と健康への影響について学ぶ。
◎防護の観点から被ばくする量を減らすことを学ぶ。
指導上の留意点
◎100ミリシーベルト以下の低い放射線量と病気との関係については、明確な証拠がないことを理解できるようにする。
◎がんの発生には、色々な原因があることを理解できるようにする。
◆暮らしや産業での放射線利用
学習のポイント
◎放射線は、医療、農業、工業など多くの分野で利用されていることを学ぶ。
指導上の留意点
◎放射線が医療、農業、工業など多くの分野で利用されていることを放射線の性質(P.11)も含めて理解できるようにする。
◆放射線の管理・防護
学習のポイント
◎平常時においても様々な方法で地域の放射線が測定・管理されていることを学ぶ。
◎事故後しばらくたつと、それまでの対策を取り続けなくてもよくなることを学ぶ。
指導上の留意点
◎事故後しばらくたつと、放射性物質が地面に落下することから、それまでの対策を取らなくてもよくなることを理解できるようにする。
◆放射線についての参考Webサイト
●資料3~放射線教育サポートシステムと関原懇~
2013.1.8「協議」資料3~放射線教育サポートシステムと関原懇~
1.「放射線教育サポートシステム」の「公式」説明
8月下旬、関西(福井県を含む)の各中学校に、教職員対象の「放射線教育サポートシステム」を案内する放射線知識普及連携プロジェクト(事務局:関西原子力懇談会)の封筒が送られてきました。
その案内によると、放射線知識普及連携プロジェクト(代表 近畿大学 原子力研究所所長・教授 伊藤哲夫)は、2011年3月の福島第1原発事故を契機に、関西地域の原子力関係の学会・大学・団体の有志が連携して、幅広い層に対し、放射線に関する疑問や不安に応えるとともに、放射線の基礎知識や正しい情報を伝えていくことを目的に2011年6月に設立。2011年8月~9月には、文部科学省と各府県市教育委員会の後援を得て、教職員対象「基礎から学ぶ放射線セミナー」を6府県8会場で主催したとのこと。
今年度から約30年ぶりに中学校理科に放射線教育が本格導入されるにあたり、放射線教育にあたる先生方をサポートするために、教育ツールの提供・貸出や講師の派遣などをパッケージで提供する「放射線教育サポートシステム」の運用を開始するということで、学習指導案とワークシートをセットにしたガイドブック、放射線測定実験の手順をおさめたDVD、簡易放射線測定器の貸出など、放射線教育の現場ですぐに実践いただけるサービスを取りそろえていると紹介しています。
<別紙プリントによると>
サービス提供条件
対象 :近畿2府4県および福井県の中学校教員
使用目的:授業、研修目的での使用を原則とする
費用 :「霧箱実験キット」以外の機材の提供、発送、講師派遣等は、放射線知識普及連携プロジェクトが負担
*今後の改善のために利用後、アンケートにご協力いただく。
<サポート内容>
①教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の提供
②実習DVD「生徒と一緒に考える放射線(実習編)」、ワークシートの提供
③簡易放射線測定器の貸出(ガンマくん、ベータちゃん)
④ペルチェ型霧箱の貸出 ※1
⑤霧箱実験キットの提供(有料) ※1
⑥講師の派遣
⑦教職員向けセミナーの実施 ※2
⑧放射線解説DVDの貸出
⑨同システム利用者に対する技術的サポート
※1 「⑥講師派遣」との組み合わせが条件となります。
※2 教育委員会や学校単位等の公的な集まりで、一定人数が確保されることが条件となります。
<申込窓口>
放射線知識普及連携プロジェクト事務局
「放射線教育サポートシステム」担当 関西原子力懇談会 吉岡・荒木
〒550-0004 大阪市西区靱本町1-8-4 大阪科学技術センタービル5階
TEL:06-6441-3682 FAX:06-6441-3683
E-Mail:kyouiku.ss@kangenkon.org
2.中学校理科教員対象の講習会の内容
2012年9月10日に、大阪市中学校教育研究会第2ブロック理科部の研究会(勤務時間に出張で参加)が、この「放射線教育サポートシステム」の⑦「教職員向けセミナー」として行われました。その場には、「放射線知識普及連携プロジェクト事務局(放射線教育サポートシステム)西村健、船田浩志」名の「大阪市2ブロック理科教育研究会 放射線講習会」と題する進行レジュメが準備されていました。その内容以下の通りです。
本日の次第
14:00~15:00 講義「放射線の基礎と利用」
講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏
15:00~16:15 実習
※霧箱工作・観察
※簡易放射線測定器(ベータちゃん)を使った実験
講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏
関西原子力懇談会 西村 健
16:15~16:30 教職員向け放射線ガイドブックの説明
講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏
関西原子力懇談会 西村 健
16:30~17:00 意見交換
※放射線教育に関する意見交換 など
【配布物】
◇放射線の基礎と利用(講義配布資料)
◇教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」1冊
◇同上付録:放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)
◇「生徒と一緒に考える放射線」(実習編)DVD1枚とワークシート5枚
◇放射線教育サポートシステムの案内
(以上)
参加費は、霧箱実験キット代の500円だけ。講義・実習の後、プログラムでは「教職員向けガイドブック説明」とあるところで、ガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の説明とともに、「放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)」(別紙)の説明がありました。「自然放射線が身の回りにはいっぱい存在していて、放射線は怖くない」「放射線は様々に利用されていて、有益なもの」「100mSv以下の低線量被ばくによるがんリスクは、喫煙・飲酒・運動不足より小さい」などを教えようとするもので、講習会の目的は、中学校理科教員にこういう授業をやらせることにあったことが明らかになりました。
3.「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態
「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態とはどんなものか、お金がどこから出ているのかを明らかにしたいと思い、プロジェクト代表の近畿大学原子力研究所長伊藤哲夫氏に質問書を送り、やりとりをしました。そのやりとり(別紙)から、運営や会計の詳しい実態は教えてもらえませんでしたが、「放射線知識普及連携プロジェクト」がお金の面でも運営の面でも全面的に「関西原子力懇談会」に依存する組織だということはわかりました。伊藤哲夫氏の9月26日付回答文の中に、「ご質問にありました放射線教育サポートシステムのメンバー、運営等は、放射線教育サポートシステムを紹介するHPに掲載予定であり、それを参考にしてください。」とありましたが、それは、関西原子力懇談会のHPに掲載されました。(メンバーは載っていますが、どう運営されているかは載っていません。)放射線教育サポートシステムを紹介するHPは他にはありません。
4.関西原子力懇談会HP(別紙)からわかること
関西原子力懇談会HPのトップページに、2012年10月29日発信「放射線教育サポートシステムについて追加しました」がアップされました。クリックすると、「放射線教育サポートシステム(中学校教員対象)」のページが出てきます。このページでは、放射線知識普及連携プロジェクト代表伊藤氏の「放射線を正しく理解し、正しくこわがるために」という文章、放射線知識普及連携プロジェクト実行委員会メンバー(代表1名、委員10名、事務局:関西原子力懇談会)とともに、次の文章が載せられています。
「放射線知識普及連携プロジェクトと連携し、関西原子力懇談会では、教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」
すなわち、「放射線教育サポートシステム(中学校教員対象)」は関西原子力懇談会が主体的に実施している事業であることを表明しているわけです。
「放射線教育サポートシステム 詳細ページ」をクリックすると、「サービス提供条件、サポート内容、本件申込について、問い合わせ先」が掲載されたページが出てきます。そのページの最後に「放射線教育サポートシステム ダウンロードページ」のボタンがあります。そこには、教職員向けガイドブックや生徒用ワークシートなどが載せられていると思うのですが、それを開くには、ID・パスワードが必要となっており、私たち部外者は見られないようになっています。「放射線教育サポートシステム」で、講師派遣によって講習会・実習を行う場合に提供されている教職員向けガイドブックや生徒用ワークシートなどは、一般には非公開なのです。非公開にしなければならない教材を、学校の授業に使うということが許されるのでしょうか。
5.関西原子力懇談会の実態
関西原子力懇談会HPのトップページには、「会長挨拶」「組織」「活動概要」(別紙)のボタンがあります。
「会長挨拶」では、関西原子力懇談会は、現会長が西原英晃氏で、1956年、(社)日本原子力産業会議(現在は(社)日本原子力産業協会)の関西地方組織として設立されたことがわかります。「活動概要」では、「原子力普及のため」のさまざまな活動が紹介されています。しかし、「組織」のページでは、理事会・会長・副会長・理事・事務局・顧問・参与・委員会などの組織図があるだけで、誰が役員か、どんな会社が会員か、すべて非公開です。当然、財政状況も公表されていません。いわば秘密組織ともいえるような団体なのです。そして、ほとんど関西電力の別組織のような団体といえます。事務所は、大阪科学技術センターの5階にありますが、建物の所有は関西電力、一般財団法人大阪科学技術センターの会長は関電副社長の生駒昌夫氏です。大阪科学技術センター1・2階の大阪科学技術館は入場無料。展示・エネルギーのコース「エネルギー・チャレンジ・ツアー エネッチャ!」の展示主体は、関西原子力懇談会・関西電力で、足でこぐと、大阪から大飯原発、高浜原発、美浜原発と画面が移動していくもの。そこには「大飯発電所3,4号機が再稼働しました。国、福井県、おおい町、ならびに各自治体の皆様に心から御礼申し上げます」と書いた関電のパンフが置いてあります。センターの3階以上は「一般人立ち入り禁止」。2012年6月の関電株主総会では、関西原子力懇談会への支出についての質問に対して、副社長の豊松秀巳氏が「関西原子力懇談会は原子力の平和利用の推進、原子力放射線の基礎知識の普及啓発、放射線取扱技術の養成やさまざまな調査研究活動を行う団体であり、当社は原子力懇談会の活動趣旨に賛同し、法人会員として応分の協力をしております。」と回答しています。関原懇が関電の別組織であることはほぼ間違いありません。
6.「放射線教育サポートシステム」の実態
以上のことから、「放射線知識普及連携プロジェクト」実施する「放射線教育サポートシステム」は、役員・会員・財政を公開していない関西電力の別組織・関西原子力懇談会が、放射線の健康影響を覆い隠し、原発推進の基盤を確保するために実施している教育介入事業であるといえます。
7.学校や教育委員会に問われること
福島第1原発事故以降、事故につながった原発安全神話が、どうのようにつくられてきたのか、教育に携わる者にも厳しく問いかけられていると思います。
この「放射線教育サポートシステム」なるものは、「関西原子力懇談会(関西電力の別組織)が、放射線の健康影響を覆い隠し、原発推進の基盤を確保するために実施している教育介入事業だ」との指摘がある中で、その中で配布されている教師向けガイドブック、学習指導案、ワークシートなどの内容を把握せず、事業の実態をつかまないままその事業を支援するなどということがあっていいはずがありません。公教育のあり方、誰のための教育が問われる問題です。
☆12/11(火)に提出予定の「『学校の放射線教育に関わる要請と質問』への回答に関する『協議』に向けた要請」について
2012年12月11日
大阪市教育委員会
教育委員長 長谷川 惠一 様
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク
「学校の放射線教育に関わる要請と質問」への回答に関する「協議」に向けた要請
12月6日付の回答を受け取りました。その回答に関わる「協議」の場を12月11日に設定してほしいと要請いたしましたが、難しいということでしたので、「協議」に内容を意味あるものにするための要請を提出いたします。「協議」の日時・場所については、改めて打ち合わせの上、設定していただきたく思います。
回答についてですが、3つの要請事項への回答はなく、4つの質問事項に対する回答だけでした。要請事項についての回答も、質問への回答に含まれていたり、推測できるものもありましたが、回答がよくわからない部分もありました。まず、それへの回答を明確にしていただきたいと思います。具体的には、<要請項目1>の「放射能汚染による健康被害を直視し、以下の学習内容をふくむ『命を守る教育』を実施してください。(1)原子力発電所事故と放射能汚染の現実 (2)放射線の基礎知識 (3)放射能・放射線の危険性 (4)これまでの放射能・放射線についての法律等での規制 (5)事故による放射性物質拡散への対応」についての回答が不明確でわかりません。明確な回答を頂きたいと思います。
次に、質問事項に対する回答内容について、以下の点を明確にしていただきたいと思います。
第1に、放射能・放射線に関わる教育の必要性の認識についてです。回答から私たちが感じたのは、「放射線教育については、福島原発事故前に作られていた学習指導要領の内容で十分で新たな学習内容は必要ない」というのが市教委の立場であるということですが、その理解で間違いないですか。私たちは、事故前の学校教育内容は原子力ムラの利害を反映しており、原発安全神話をつくりあげることに加担していたという反省のもとに見なおされるべきものと考えていますが、それに対する見解を求めたいと思います。また、事故の現実・放射能汚染の現実に直面している状況の中で、新たな学習が必要ないという見解であるなら、事故の現実と影響に対する市教委の受け止めが問われると考えます。
第2に、放射線教育の目的が何かという点です。回答では、文科省が放射線副読本を作成した目的の1つに人々の放射線に対する健康不安の払拭をあげて肯定的に評価していますが、それは間違いです。この深刻な放射能汚染の現実、隠そうとしても隠しきれないチェルノブイリや福島の健康被害の現実の中で、人々が放射能汚染、放射線被ばくに対する健康不安を抱くのは当然であり、求められているのは、原発事故と放射能汚染の現実、放射線被ばくの危険性と防護のために必要な知識を得るための「命を守るための教育」です。
回答では、放射線副読本解説編で「いろいろな分野で利用されている放射線の一面」を取り上げていることを肯定的に紹介していますが、放射線被ばくの危険性を覆い隠し、あるいは、相対化するためにとりあげているもので、批判すべきものです。学習目的を明確にすることが必要です。
第3に、「正しい知識・認識」とは何かという点です。回答では、その内容を具体的に検討することなく、放射線副読本の内容や「放射線サポートシステム」の内容を、無批判に「正しい知識・認識」としているように思えます。低線量・内部被曝の影響の大きさが、過去の経験・現実の中から明らかになり、放射線副読本の内容や「放射線サポートシステム」の内容は、事実の歪曲、意図的な過小評価であることが明らかです。「正しい知識・認識」をどう考えているのかということについてきちんとした説明を求めたいと思います。
第4に、「放射線サポートシステム」を実施している「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態についてです。「放射線知識普及連携プロジェクト」が運営も財源も事務局の関西原子力懇談会に依存する組織であり、関西原子力懇談会は、関西電力のトンネル組織のようなものだと指摘していました。「放射線サポートシステム」の事業に関わるお金のほとんどが関西電力から出ているという指摘に対して、回答では、何らの反論もしないまま、また、関西電力の原発推進路線を支える「放射線は怖くなくて便利なもの」という意識を子どもたちに刷り込むための事業であるという指摘に対する反論もしないまま、「放射線サポートシステム」が「(正しい)放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステムである」と断定しています。これは、お金のほとんどを関西電力に依存しているような事業であっても、積極的に活用して問題ないという認識であるのかどうか明らかにして頂きたいと思います。
原発事故という現実に対して真剣に向き合おうとしている人たちの視線の中での公教育であるという立場を自覚し、保身ではなく、求められる教育を積極に創造する立場で、「協議」に臨んでいただくよう要望いたします。
被災地の現実を知っていただきたく、チェルノブイリ原発事故の放射能汚染により被曝したベラルーシの子どもたちの作文集「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」をお渡しします。放射能・放射線にかかわる教育はこの声を受け止めることから始まると思います。
☆11月5日に提出した「要請と質問」への、大阪市教育委員会からの回答(2012年12月6日)について
平成24年12月6日
子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク様
大阪市教育委員会教育長
担当:総務課
電話:6208-9071
学校の放射線教育に関わる要請と質問について(回答)
平素は何かと大阪市政にご協力を賜り、誠にありがとうございます。
さて、平成24年11月6日付けでいただきました質問書につきまして、別紙のとおり回答いたします。
今後とも本市教育行政にご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」からの質問書
番号 |
質問項目1 |
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項目 |
9月7日の「協議」で要請した事項の検討・実行状況について聞かせてください。 {「今年度に入って、6月になるまで市教委から指示がなかったことが、配慮なく放射線副読本を配布している学校が出ていることにつながっている。また、現時点で、総学校は『学校保管』、中学校は『配慮して使用』と指示内容が異なっていることはすぐに是正が必要。判断留保の先送りも限界の時期に来ている中で、教育委員会として、放射線副読本に対するはっきりした評価を出し、『配布しないこと、配布してしまった学校は回収すること』の指示を出すとともに、それに代わる学習内容の提示を行うべき。」}に対する回答。 |
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(回答)
・小学校においては、学習指導要領に放射線に関する指導内容がないことから「学校保管」としており、中学校においては放射線に関して学習する際、教材として活用することができるので、「配慮して使用」としています。 ・すでに配布したものについては、すでに廃棄した者もいることから、回収が困難であると考えております。 ・また、それに代わる学習内容ですが、小学校では放射線に関する指導内容が無いこと、中学校においては教科書や副読本を活用できることから、実施については考えておりません。 |
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担当 |
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:06-6208-9176 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当 電話:06-6208-9187 |
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番号 |
質問項目2 |
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項目 |
原発事故の放射能汚染が深刻な健康被害につながっていることを疑わせる現実の中で、「放射能は怖くない」ことを印象付けようとする文科省「放射線副読本」は、「命を守る教育」にとって有害であると考えますが、「放射線副読本」についての見解を聞かせてください。 |
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(回答)
・平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって東京電力(株)福島第一原子力発電所で事故が起こり、放射性物質が大気中や海中に放出されました。この発電所の周辺地域では、放射線を受ける量が一定の水準を超える恐れがある方々が避難することとなり、東日本の一部の地域では、水道水の摂取や一部の食品の摂取・出荷が制限されました。 ・このようなことから、教育現場においても放射線への関心や放射線による人体への影響などについての不安を抱く方がおられると考え、放射線についての児童・生徒向けの副読本が作成されたものと考えています。 ・副読本解説書では、放射線の基礎知識や放射線による人体への影響、目的に合わせた測定器の利用方法、事故が起きた時の心構え、さらには、いろいろな分野で利用されている放射線の一面などについての解説や関連資料を掲載しています。 ・各学校がこの副読本を活用する場合には、児童生徒が放射線や放射性物質についての正しい認識を持ち、自ら考え、判断することができるようにしなければならないと考えています。 |
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担当 |
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:06-6208-9176 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当 電話:06-6208-9187 |
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番号 |
質問項目3 |
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項目 |
放射能・放射線に関わる教育は、「命を守るための教育」という観点で行うべきだと考えますが、教育委員会の見解を聞かせてください。また、放射能・放射線に関わる教育において必要な学習項目は何か。教育委員会の見解を聞かせてください。 |
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(回答)
本年度より全面実施されている新中学校学習指導要領の理科には、「水力、火力、原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに、エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること」とあり、「放射能の性質と利用にも触れること」と新たに明記されました。そのことにより、中学校理科において、放射線についての授業が行われることになっております。 教育委員会としましては、児童・生徒が放射線や放射能について正しい知識を持ち、自ら考え判断することができるよう各学校に周知してまいります。 |
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担当 |
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:06-6208-9176 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当 電話:06-6208-9187 |
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番号 |
質問項目4 |
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項目 |
私たちは、「放射線教育サポートシステム」が、関西電力のお金で関電の私的利益のために実施されている事業であると理解していますが、見解を聞かせてください。 |
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(回答)
「放射線サポートシステム」は、教員向けセミナーの実施やガイドブックなどの教育ツールの提供等、放射線の授業を行うにあたって、中学校教員を対象に支援を行う事業であり、関西地域の原子力関係の学会、大学、団体の有志が連携した「放射線知識普及連携プロジェクト」が実施しているものです。 教育委員会としましては、中学校教育において、放射線についての基礎知識や正しい情報を理解させることは大切であると考えております。そのためにも、指導する教員が原発事故など様々な状況を踏まえつつ、正しい知識と情報を持って指導にあたることは必要であり、「放射線教育サポートシステム」は、放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステムであると考えております。あわせて、指導に当たっては、原発事故による放射線の影響についても指導する必要があると考えております。 |
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担当 |
教育委員会事務局 指導部 初等教育担当 電話:06-6208-9176 教育委員会事務局 指導部 中学校教育担当 電話:06-6208-9187 |
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☆【注目!】原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプラン(2012.5.31 )について
2012年5月31日、原子力被災者等の健康不安対策調整会議において、「原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプラン」が決定されました。
しかし、その内容は、IAEAという1団体の視点から福島第一原発の事故被害を視ており、食品や環境への深刻な放射能汚染が広がっている、という国際的な評価とは一線を画したものになっております。
また機を一にして、関西原子力懇談会が中心となった「放射線教育サポートシステム」の案内が、関西2府4県と福井県のすべての中学校に送られてきています。
今、「原子力ムラ」の人たちは、原発事故の現実・深刻さに目をふさぎ、放射能・放射線は「ずっと昔からあり、いろいろ利用されている」ことを印象づけることで、「放射能は怖くないし、事故の影響はたいしたことはない」との意識を国民に植えつけようとしているように思います。そうすることで、人々を汚染地に住み続けさせ、汚染食品を流通させ、被曝を強要し、被害賠償の軽減、原発推進・原発輸出政策継続を意図しているように思えてなりません。
関西原子力懇談会と同じ「原子力ムラ」の代表格「日本原子力文化振興財団」に委託してつくられた文科省の「放射線副読本」も、上記の意図があるとして、強い批判を浴びています。
福島第1原発事故以降の被曝の時代を生きる子どもたちのために、放射線に関わる学習も、原発事故と放射能汚染の現実から出発し、放射能・放射線の危険とは何か(低線量・内部被曝の危険性を含めて)をキチンと押さえて、新たな安全神話を持ち込ませないようにしていきましょう。
原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプラン(2012.5.31決定)項目
Ⅰ. はじめに
避難指示区域等から避難された方々にふるさとに戻っていただく取り組みを進めつつある中で、ふるさとへの帰還の大前提となる生活環境や健康状態について不安を解消できていないという状況は深刻な問題。国において効果的、効率的な健康不安対策を十分に講じられていないことによるところが大きい。
具体的には、(イ)発信する情報の不足の問題(ロ)コミュニケーションの方法の問題(ハ)コミュニケーションを行う人や場の確保の問題。チェルノブイリ原発事故において、放射線による健康被害だけでなく、事故や被ばくの恐怖によるストレスの影響等が顕在化し、事故後25年経過した現在でも様々な対策が講じられていることにも留意する必要がある。
本アクションプランは、環境省が中心とって、「原子力被災者等の健康不安対策調整会議」を開催し、同会議において関係省庁等がこうした反省と問題意識を共有した上で、今般事故により被災者をはじめとする国民が抱える放射線等による健康不安への対策の全体像を明らかにし、①関係者の連携、共通理解の醸成、②放射線の影響に係る人材育成、国民とのコミュニケーション等、③放射線等による健康影響に係る拠点等の整備、連携強化、④国際的な連携強化の四つの柱のもと、これを確実かつ計画的に講じていくことを目的としてとりまとめたものである。また、これらの取組を実施する上では、住民自らが参加し、自らの行動を決定していくことに資するものとすることが重要である。
本アクションプランに盛り込まれた各省庁等の施策のうち、当面の具体的取組については平成24年度(2012年度)中には事業に着手することとし、中長期的な取組方針についてはそれ以降も中長期にわたって重点的に実施すべきものであり、各取組を担当することとされた各省庁等を中心に政府一丸となって、その確実な実施に向けて全力で取り組んでいく。
Ⅱ. 重点施策
1.関係者の連携、共通理解の醸成
<対応の方向性>
●原子力被災者等の健康不安対策調整会議や国と地方公共団体等の連絡会議棟を定期的に開催し、関係者の間で情報交換や取組の調整等を行い、関係者の連携を図る。
1)中長期的な取組方針
① 調整会議及び同幹事会の定期的な開催
② 国と地方公共団体等の連絡会議の定期的な開催
2)当面の具体的取組
① 調整会議、同幹事会における連絡、調整
② 国と地方公共団体等の連絡会議における連絡、調整
③ 放射線による健康影響等に関する情報、関係省庁等の実施している放射線による健 康影響等に関する調査研究、情報提供の場・機会に関する情報等を一元的に提供するポータルサイトの設置、運営【環境省、調整会議構成省庁等】
2.放射線の影響に係る人材育成、国民とのコミュニケーション等
<対応の方向性>
●今般事故に伴う放射線による健康影響等に関する国の統一的な基礎資料を作成。これをもとに、保険医療福祉関係者や教育関係者等に対して研修等を行う。
●参加型プログラムの作成。同プログラムを活用した各地における取組の支援。
●生産・流通業者に対する情報提供
●個々の施策については、担当府省庁において国民に説明
1)中長期的な取組方針
① 統一的な基礎資料の継続的な更新
② 保険医療福祉関係者への中長期的な研修体制の確立
③ 教育関係者への中長期的な研修体制の確立
④ 地域住民の問題意識に則した参加型プログラムの継続的な実施の支援
⑤ 生産・流通業者への中長期的な情報発信
⑥ 放射能及び放射線を正しく測定するための情報発信
⑦ 国民からの放射線による健康影響等に関する相談体制の確立
2)当面の具体的取組
(1)基礎となるとりくみ
① 今般事故に伴う放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料の作成
(2)情報発信の人材育成
イ)保険医療福祉関係者
① 被曝状況等を測定するための検査機器の使用等に関する研修
② 保健医療福祉関係者に対応した放射線による健康影響等に関する研修教材の作成
③ 放射線による健康影響等に関する医師、保健師等への研修
ロ)教育関係者
① 放射線等に関する副読本(教師用)の作成、配布を通じた教育関係者に対する支援
② 放射線による健康影響等に関する情報の発信方法等を網羅した研修教材の作成(Q&A集の作成、配布含む)
③ 教育関係者に対応した放射線による健康影響等及び情報発信方法等に関する研修
ハ)その他(地方公共団体の職員)
① 地方公共団体の職員に対する放射性物質の汚染濃度等を測定する検査機器の使用等に関する研修・情報発信
② 放射線による健康影響等に関する情報の発信方法等を網羅した説明資料の作成
③ 地方公共団体の職員等に対する健康影響等及び情報発信方法等に関する説明
(3)情報の受け手の普及・啓発等
イ)保護者等を初めとした国民全般
① 健康管理調査事業
② 子ども・妊婦等の個人線量測定
③ 放射線専門家や精神医療等の専門家による講演、説明会等の開催
④ 保護者等の不安事項に関する相談窓口設置
⑤ 保護者等の問題意識に則した参加型のプログラムの開発
⑥ 食品の安全と放射能に関する消費者に分かりやすい説明
ロ)子ども
① 放射線の性質と利用について新たに示した中学校学習指導要領の実施
② 放射線に関する副読本(児童・生徒用)の作成、配布
③ 今般事故に伴う放射線による健康影響等に関する解説資料の作成、配布
④ 給食の放射性物質の汚染濃度を測定する検査体制の整備
⑤ 学校への放射線に関する専門医の派遣
⑥ 子どもの心のケアのための学校等へのスクールカウンセラー等の派遣、スポーツトレーナー等の派遣
(4)生産・流通業者の普及・啓発
① 放射線による健康影響等に関する説明資料等の作成、配布
② 食品等の安全性管理システムの構築
③ 生産・流通業者への、放射線による健康影響等に関する情報発信
3.放射線等による健康影響に係る拠点等の整備、連携強化
<対応の方向性>
●県民健康管理センター等について、放射線による健康不安解消に向けた必要な人員の拡充等。関連する拠点間の連携強化等。
1)中長期的な取組方針
① 県民健康管理センター等における、放射線による健康不安解消に向けた必要な人員の拡充等
② 放射線による健康影響等に関連する機関間の連携の強化
2)当面の具体的取組
(1)拠点等の整備、連携強化
① 必要な人員配置等
(2)検査機器の配備
① 検査結果の解釈等に関するマニュアルの作成
② 検査機器の配備
4.国際的な連携の強化
<対応の方向性>
- · 事交流や共同研究の枠組の確立等を行う。
1)中長期的な取組方針
① チェルノブイリ原発事故被災国の政府及び研究機関並びに国際機関との継続的な人事交流や共同研究の枠組の確立等
2)当面の具体的取組
(1)チェルノブイリ原発事故被災国との連携
① 日ウクライナ協定等に基づくチェルノブイリ原発事故被災国との情報交換や研究協力等の協力関係の構築
(2)国際機関との連携
① IAEA等国際機関との協力関係の構築
Ⅲ. 進捗管理
関係省庁等における健康不安対策関連の予算や施策を適宜とりまとめた上で公表する。また、関係省庁等における取組について進捗状況を把握し、本アクションプランの取組が着実に進められているか点検する。さらに、点検の結果や最新の科学的な知見等を踏まえ、本アクションプランについて、適宜更新を行うこととする。【環境省】
9月7日、「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」(子ども大阪ネット)は、文科省放射線副読本の扱いについて、大阪市教育委員会との「協議」の場を持ちました。
(15:00~17:00 市役所地下会議室 参加:子ども大阪ネット・8人、市教委3人 総務課・指導部小学校担当・中学校担当)
7月4日付で提出した「放射線副読本の配布取り止め、配布してしまった副読本の回収」を求める要求書の4点の質問への市教委回答を受けての「協議」でした。
この場で、35%の小学校、20%の中学校で、すでに副読本が配布されてしまっていることが明らかになりました。市教委は、3月中に各学校に送られてくる副読本の扱いに対して、3月8日に、「2011年度中は学校保管。2012年度の取り扱いについては新年度に改めて連絡」という事務連絡を行ったそうですが、その後、何の連絡もしなかったためです。市教委は、6月になって、放射線副読本に対する陳情がされ、市議会で問題になっていることを踏まえて、校長会において、小学校は『学校保管』、中学校は『配慮して使用』という指示を行ったということでした。
市教委が、文科省副読本に対して、「福島第1原発事故や放射能汚染の現実にふれていない点など不十分点はあるが、活用はできる」という立場であることに対して、私たちは、「放射能・放射線被ばくは気にする必要はないという誤った意識を生み出すもので、犯罪的」と指摘し、学校内での論議やどういう学習をしようとしているかなどについて紹介しました。また、放射線読本作成を受託・制作した日本原子力文化事業財団や中学校理科の放射線教育にかかわろうとしている関西原子力懇談会などの「原子力ムラ」に対する認識についてただし、関連資料を渡したりしました。後半参加された福島からの避難者Hさんからは、福島における健康被害の状況とその渦中にある保護者の心情、国の被災者切り捨ての姿勢などについて感じていることが話され、子どもたちの未来に責任を負う職責にあることの自覚を持って対応してほしいことの訴えがありました。
最後に、私たちから以下の要望を行いました。「今年度に入って、6月になるまで市教委からの指示がなかったことが、配慮なく放射線副読本を配布している学校が出ていることにつながっている。また、現時点で、小学校は『学校保管』、中学校は『配慮して使用』と指示内容が異なっていることはすぐに是正が必要。判断留保の先送りも限界の時期に来ている中で、教育委員会として、放射線副読本に対するはっきりした評価を出し、『配布しないこと、配布してしまった学校は回収すること』の指示を出すとともに、それに代わる学習内容の提示を行うべき。」出席した市教委担当者からは、「指摘・要望は受け止めて、検討する」との回答がありました。
国は、5月31日に「原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプラン」を決定し、「原子力ムラ」の「知識」を総動員して、放射能汚染と健康被害の実態に目をふさぎ、「健康不安の払拭」に全力をあげるとしています。そのことで、被災者を切り捨て、事故の責任を回避し、原発推進の基盤をつろうとしているのです。教育は、重要な一翼を担うものと位置づけられ、文科省放射線副読本や中学校理科の放射線教育はその武器となっています。切り捨てられている被災者の声を聞き、広く伝え、汚染・被曝の現実から「原子力ムラ」のデマ宣伝を打ち破っていきましょう。子どもたちに伝えるべき、ほんとうの学習内容を創造していきましょう。
(子ども大阪ネット・M)